落札者が羨ましい、コストパフォーマンスの高い1台だった
2024年6月17~24日にかけて、名門ボナムズ・オークション社がオンライン限定で開催した「AMG Rediscovered Online」オークションにおいて、メルセデス・ベンツ「280SE セダン」が出品されました。AMGはその性能をさらに向上させるために独自のボディキットを開発。さらにオリジナルのボディカラーをまとった1台でした。
5速MTを搭載した希少なドイツ仕様
多くのメルセデス・ベンツ・エンスージアストにとって、「メルセデス・ベンツらしさの最高峰」とも呼べるモデルのひとつが、ここで紹介するW126型の「Sクラス」だ。1979年のIAA(フランクフルト・ショー)で発表されたW126は、その前作にあたるW116型のコンセプトを継承し、世界で最高のクオリティを持ったセダンを作るという、エンジニアリング・チームのストイックな、そして献身的な姿勢を具現化したモデルでもあった。
当然のことながらその人気は、現在においてもまったく変わることはない。このW126型SクラスにAMGの手が加わったならば、それはどれほどまでに魅力的なモデルとなるのか。オークショネアのボナムズが先日開催したオークションに出品したこの「280SE」は、それを知るひとつの実例でもあるのだ。
フロントに搭載されるエンジンは、2746ccの直列6気筒DOHC(M110型)。それに組み合わされるトランスミッションは5速MT、希少なドイツ仕様の280SEをベースにAMGが製作したこのモデルの特徴は、そのボディデザインにある。
そもそもかのブルーノ・サッコをチーフとする、メルセデス・ベンツのデザインチームが生み出したW126のボディは、その端正なスタイリングとともに当時としては最高水準のエアロダイナミクスを誇るものだった。
>>ネオクラシックを特集したメルセデスの専門誌「only Mercedes」のvol.221を読みたい人はこちら(外部サイト)
現在の走行距離は15万4000キロ
AMGはその性能をさらに向上させるために独自のボディキットを開発。当時のAMG車らしくフロントグリルやペンタアロイ(5本スポーク・アルミ)ホイールなどをシルバーブルーメタリックのボディカラーと同色とし、視覚的にもより魅力的な外観を演出している。
1982年式というから、新車でのデリバリーからはすでに40年以上の時を経ている出品車だが、そのコンディションはまだまだ良好。インテリアでは一部にファブリック張りの破れが指摘されるが、エンジンは6000マイル(約9600km)前に交換作業を受けたと報告されている。
現在までのトータルの走行距離は9万6259マイル(約15万4000km)。これからクラシック・メルセデスの世界を楽しみたいというエンスージアストには、このモデルも選択肢のひとつとしては気になる存在だったのだろう。
ボナムスはオークション開催前に、エスティメート(予想落札価格)を2万5000ドル~3万ドル(邦貨換算約400万円~480万円)と提示していたが、結果的には1万6100ドル(邦貨換算約257万円)と、じつにコスト・パフォーマンスの高い価格で落札されることになった。1980年代のAMGルック、その人気は世界共通だ。
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