シルバードーンは1949年に発売
「合理化されたレンジ」の2番目となるモデル、「シルバードーン」は1949年に登場し、当初は主に北米とオーストラリア市場向けの輸出車としてのみ販売された。生産された761台のシルバードーンのうち、大半は4ドア・サルーン・ボディであった。しかし、ロールス・ロイスは顧客の要望を尊重し、ローリングシャシーとしても64台提供し、コーチビルダーによってボディが架装された。このモデルの生産は1955年まで続く。
シルバードーンは1952年まで、顧客は小型と大型の両モデルにオートマチックトランスミッションを備えたローリングシャシーを選択することができ、マニュアルトランスミッションで提供された最後のロールス・ロイスモデルとなった。今日のすべてのV12エンジンを搭載するロールス・ロイス車に搭載されている、ZF製8速オートマチック・トランスミッションが登場するのは半世紀以上先のことだが、このときにその礎は築かれていたのである。
奇才デザイナーによって再設計される
シルバードーンの生産終了が近づいた頃、新たに雇われたジョン・ブラッチリー氏によってリアセクションが再設計された。彼はロンドンの有名なコーチビルダー、ガーニー・ナッティング社で技術を学んだ後、ロールス・ロイスに加わった。彼の繊細なデザインセンスは荷物容量を増やすだけでなく、外観も大幅に向上させることに成功した。彼はその後、その才能が認められロールス・ロイスのチーフスタイリングエンジニアに就任している。
2015年に「ドーン」という名前が復活し、2023年の生産終了までにロールス・ロイス史上最も売れたドロップヘッドモデルとなった。
シルバードーンが1949年に誕生してから、70年以上が経過している。それでもなお現代の交通状況において、ドライバーには爽快な体験を、乗客には長距離でも快適な乗り心地を提供する。シルバードーンはあらゆる意味で完全にロールス・ロイスなのである。
AMWノミカタ
シルバーレイスの成功の影に隠れ、あまり日の目を見なかったモデルがシルバードーンである。これはベントレー「マークVI」の兄弟車であったが、対米輸出を前提に制作されたモデルで、戦後のアメリカのユーザーがリーズナブルな価格の実用的なサルーンを好んだことによる。
後年ロングブーツと呼ばれる長いトランクを持ったモデルが登場するが、これも実用性をさらに向上するための改良だったのだろう。マークVIが輸出されなかったのは圧倒的にロールス・ロイスの方がブランドとして人気があったという理由であるが、6年という短命で終わってしまったのはやはり小型のロールス・ロイスは彼らの望むモデルではなかったのであろう。それでもこのモデルは、4速オートマチックを採用し、自社製のボディを架装するなど意欲的な試みが行われた。そのような意味でも現代のロールス・ロイスの基礎となる、歴史的に見て貴重なモデルであると言える。