華麗なスタイリングを持つ美獣と言われた名車
かつて「華麗なスタイリングを持つ美獣」といわれた日産 S30型「フェアレディ240ZG」。スポーツカーとして抜群のルックスとプロポーションを持ったクルマで、当時は「優秀なものは生まれながらにして美しい」と、こんなたとえまで誕生するほどでした。そんなフェアレディ240ZGを10年もの歳月をかけてレストアした広田康久さんに話を伺いました。
国産スポーツカー最大級のパワーユニットを搭載
この日産 S30型「フェアレディ240ZG」は、1970年に北米向け輸出専用に設定され、市場で絶賛され一大センセーショナルを巻き起こした。海外での大成功に続き国内のファンからも熱望され、1971年11月に国内用右ハンドル車が追加された。搭載されたのは排気量2393ccのL24型エンジンで、最高出力は150ps、最大トルクは21.0kgmと、当時の国産スポーツカー最大級のパワーユニットを搭載していた。
日本でのグレード展開は「240Z」、「240Z-L」、「240ZG」の3種類で、トップグレードである240ZGの外観「Gノーズ(エアロダイナ・ノーズ)」のカッコよさに誰もが憧れた。フロントの鋭く伸びたFRP製ノーズピース、ヘッドライトカバー、ワイドタイヤを収めるオーバーフェンダーからなる独特のスタイルは美しいだけでなく、空気抵抗係数を示すCd値=0.390という国内最高峰の数値をマーク。
さらに、最高速は210km/hに到達し、カッコいいスタリングとともに圧倒的な速さも身につけ、クルマ好きにとっての憧れのスポーツカーとして君臨した。
10年もの歳月をかけてレストア
現在52歳の広田康久さんは、昔から旧車好きで、これまでに1980年代のクルマを中心に乗り継いできたそうだが、そろそろ良い歳になったので、昔から憧れていたフェアレディ240ZGに乗ろうと決意。全国各地を巡って良い個体探しを開始するも、近年の旧車価格高騰によって、程度の良い車体はどれも高く手が出せない。そんな理由から、レストア前提で車体探しを始めたが、それでも簡単には見つからない。
なにせ大人気のフェアレディ240ZGだけに、ボロボロでも欲しがる人はたくさんいる。なので、本当は右ハンドル車を求めていたが、やはり国内仕様は高嶺の花というわけで、左ハンドルに狙いを定めて購入。現在の状態になるまで約10年もの歳月を費やしてレストアに励んで完成させたという。ちなみに、これは偶然だったが、手に入れた車体は、広田さんの生まれ年にも近かったため、運命的な出会いを感じてしまったそうだ。
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