ドラッグレースの好結果から、本格的な競技車両の製作にも着手!
さらに転機となったのが、ドラッグレースへの参加だ。坂本社長に誘われた初レースでまったくの未経験ながらいきなり10秒6を記録。ドラッグレースを知らない人には理解できないかもしれないが、いかにチューンドGT-Rが速いとはいえ、軽量化なしの600㎰、しかも初めてのレースでこのタイムを出せるものではない。
それを見た坂本代表がドラッグレース参戦を打診。走らせ方を覚えるとともに同じマシンで9秒台をマーク。さらに初年度ながらシリーズ制覇という快挙も成し遂げる。小山さんにはドラッグレースの才能があったのだ。
この好結果から、より上を目指したいという思いが芽生え、R33 GT-Rで本格的な競技車両を製作したことで、R32はレースの世界からは引退することとなった。しかし、長年酷使したためか、エンジン本体にクラックが入り、再び入庫することに。オーバーホールの際にHKS最新のクランク角センサーなどを組み込んで、マネジメントを見直した。
タイムではなく、純粋に走って楽しむためにドラッグレースに参戦したい
トランスミッションはドラッグレースに耐えうるOS技研のシーケンシャルをセットし、エンジンは2.7Lへの排気量アップとHKSのGT III-5Rのシングルタービンで、750psまで引き上げられている。
エクステリアも純正スタイルを損なうことなく、全幅が80mm拡大するワイドボディキットを装着したうえで、大好きなディープリムのWORKマイスターS1ホイールをインストール(今回で通算8セット目、タイヤは295/35R18)。パフォーマンス、ビジュアルを含めてオンリーワンな1台に仕立てている。
「R32からR35まで歴代のGT-Rはどれも好きですが、R32は別格。にらみをきかせたような厳つい顔がなんとも言えませんね。競技からは退きましたが、エンジンが完成した今、一度ドラッグレースに出てみたい。タイムではなく、愛車として純粋に楽しみたいんですよ」と小山さん。
手に入れてからまもなく30年。BNR32への情熱はいまだ尽きることはない。