予想よりはちょっとお安め、でも4000万円の壁は超える……
このほどRMサザビーズ「Monterey 2024」オークションに出品された個体は、1989年モデルとして北米向けに生産された、わずか76台のフラットノーズ・カブリオレのうちの1台とのことである。
エクステリアは、魅力的な特別注文色の「バルチックブルー・メタリック」で仕上げられ、ベージュのビニール/本革混成レザーインテリアとマッチしている。カラーコーディネートされたフックス鍛造ホイール、ダークブルーのソフトトップとインテリアトリムのディテールが組み合わされ、この時代の911のなかでも、なかなか見事な存在感を示しているといえよう。
また、この個体には「M505フラットノーズ」パッケージのほか、ストロークを短縮したクイックシフトレバー、運転席側ランバーサポート、しなやかな本革/ビニール混成のレザーシート、「ブラウプンクト・レノ(Blaupunkt Reno)」カセットステレオ、追加アンプ、リミテッドスリップ・ディファレンシャルがメーカーオプションとして装備されていた。
ただ、ローマ数字表記の計器類が取り付けられているようだが、これはアフターマーケット商品とのこと。落札者の希望に応じて、アラビア数字表記の純正品に交換可能とされていた。
アメリカ合衆国での登録履歴を調べられる「カーファックス」レポートの記載によれば、この911 ターボは現在に至る生涯のほとんどをニューヨークとその周辺で過ごしてきたようだ。
オークション公式ウェブカタログの作成時点では、走行距離はわずか2万484マイル(約3万3000km)と年式のわりには少なめで、特別なカラースキームを持つこの希少なフラットノーズ カブリオレをさらに魅力的なものにしている。くわえてエアコンプレッサー、純正のツールロールとカーカバー、オリジナルのマニュアルと保証書も付属するとのことであった。
この希少な911ターボ・フラットノーズ・カブリオレのオークション出品に際して、RMサザビーズは30万ドル~35万ドル(邦貨換算約4400万円〜5180万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。
ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、出品者側が期待していたほどにはビッド(入札)が集まらなかったようだが、それでも終わってみればエスティメート下限を少しだけ割り込む29万1000ドル。すなわち日本円に換算すれば、約4160万円で競売人のハンマーが鳴らされることになったのである。