日産パイクカー・シリーズの第1弾、Be-1
新潟県弥彦村で2024年6月9日に行われたイベント「GFGS CARLIFE IN YAHIKO Vol.1」のテーマは、「普段実用に供している1980年代~2010年代製のかわいいクルマ」。日産のパイクカーたちも数多く集まった中から、その先駆けである「Be-1」のオーナーに直撃。じつは、このモデルの開発に携わっていた関係者でした。
南青山の「Be-1ショップ」を覚えてる?
「形態は常に機能に従う」と言ったのは19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したアメリカの建築家ルイス・サリヴァンだったが、その伝で言えば、「ジウジアーロの手がけた非常に完成度の高いパッケージの初代マーチのボディを取っ払って、レトロ調のボディに載せ替えたパイクカーって一体……?」ということになるのだろう。しかし、バブル景気に湧く当時の日本ではそれはポジティブに捉えられ、大きな話題となった。
「“正しい”ことはもはやカッコ悪い」「自身のクルマには動力性能よりも見た目の可愛さが欲しい」と考えるユーザー層のニーズも追い風となり、商業的にも成功をおさめた一連のパイクカーたち。そんなデザインコンシャスな「企画もの」の第1弾となったのが、1987年に発売された「Be-1(ビー・ワン)」である。
同車をモチーフとした文具やミニチュアモデルなどのオリジナル・グッズを販売していた南青山の「Be-1ショップ」の、当時の盛況ぶりを懐かしく思い出す向きもいらっしゃるだろう。
ちょっと勇ましいアクセントを加えた「なんちゃってNISMO仕様」
イベント会場の一角に「パオ」、「フィガロ」、「ラシーン」、「キューブ」などとともに展示されていたのがこちらの個体。当時Be-1のボディカラーには野菜をモチーフとしたパンプキンイエロー、ハイドレインジアブルー、トマトレッド、オニオンホワイトの4色が用意されたが、こちらのBe-1はオニオンホワイト。
そのおとぼけキャラに反して8本スポークの14インチ・アルミホイールが勇ましい。さらに近づいて仔細に観察すると、ミラーやフロント下に赤の差し色、そして「NISMO」のエンブレムまで付いている。
「なんちゃってNISMO仕様です。この状態に仕上げられていた個体を個人売買で手に入れて、じつはまだ3日目。このイベントにはギリギリで間に合いました」
と語るのは、オーナーの長澤隆彦さんだ。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)