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日本未導入のアキュラ「インテグラ タイプS」と「シビック タイプR」を北米で乗り比べ!「好印象のタイプSと想像通りのタイプR」の真意とは?

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 原田 了(HARADA Ryo)

軽量コンパクトだった初代シビックRSが懐かしい

「タイプR」を登場順に並べていくと1992年のNSX、1995年のインテグラ、そして1997年のシビックとなるのだが、NSXはクルマ(ベース車両)そのものがハイパー過ぎて、細かな部分に対しての印象は薄かった。しかしインテグラは反対に、トランスミッション……正確にはそのシフトフィーリングに痺れてしまい、このミッションだけでもタイプRを選ぶに値する、と何かの試乗記で書いたことを覚えている。そしてシビックの場合は若さゆえの怖いもの知らずだから、サイズ的にもパワー的にも、これなら自分でも振り回せる、と書いたような気がする。

その流れで言うなら今回のシビック タイプRはほぼ、乗る前に予想していた通りだった。5速から6速へと1速分増えているが小気味よいシフトフィーリングや、エンジンを始動した時の高揚感。走り始めた途端に感じるボディの剛性感。そして街中で2速と3速を交互にシフトしながら走り抜けていく爽快感まで、ほぼ想像どおりのクルマだったことが確認できた。

しかし今再びシビック タイプRを選ぶか、と言われると「?」が残る。パフォーマンスは十二分だが、ボディの剛性感がそのまま乗り心地を固くし過ぎている印象があったから。それにシビックを名乗るには、少し成長し過ぎた体躯が気になるのは初代RSオーナーならではだろうか。

段差を通過したときの感覚が心地良い

一方、1カ月の「夏休み」の3週目にロングドライブしたインテグラ タイプSはシビック タイプRとは一転、全てが想像以上の好印象だった。エンジンをかける前に確認したシフトフィーリングやエンジンを始動する時の高揚感、走り始めてすぐに感じる剛性感。そして街中での爽快感などはシビックのタイプRと全く同じなのだけれど、横断歩道の手前に設けられている段差を通過した時の驚きが、タイプSに対する印象を一気に好ましいものに変えてしまった。

段差を通過した時にタイプRでは「ドンッ」と腰に響いたのが、タイプSでは「トンッ」と腰ではなく耳に心地よく響いたのだ。となるとタイプRでは成長し過ぎた感のある立派な体躯も「持て余し感」は気にならなくなった。

「アメ・ホン」の広報によると、シビックに追加設定された新グレードのRSは、このインテグラのタイプSと同様のセットアップになるとのこと。じゃあシビックのRSもアリかな、と思うのだが、やはり初代RSのオーナーとしては軽量コンパクトで、少しだけパワーアップしたRSこそが正真正銘のRSで懐かしいと思ってしまうのだ。

誤解なきように付け加えると、最新のシビック タイプRやシビック RSの仕上がりには何の不満もない。ただ懐古趣味かもしれないけれど、軽量コンパクトだった初代シビック RSの爽快感が懐かしく思われるのだ。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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