JCCA筑波ミーティングで旧車サーキット走行を初体験
旧車好きな20歳の女性レーシングドライバー佐々木藍咲(ささき らみ)選手に、さまざまな旧車に試乗してもらい若者目線の素直なインプレをお届けする連載「令和女子旧車に乗る」。今回は番外編として、春のJCCA筑波ミーティングにおいてダットサン「フェアレディ」のレーシングカーに乗ってサーキット走行を初体験した様子をレポートします。現代のレースマシンとはやはり大きく違ったようで……?
レースへ憧れたきっかけはフェアレディ240Z
2017年に誕生した女性ドライバーによるプロレースシリーズ「KYOJO CUP」。年々参加者も増え、女性アスリートたちが鎬を削るワンメイクレースはモータースポーツファンからも注目の的だ。マシンは、長年コンストラクターとして、レーシングドライバーを夢見る若者を支え続けてきたウエストレーシング製の「VITA-01」によりイコールコンディションで行われる。
38号車LHGレーシングDRP VITAに乗る佐々木藍咲(ささき らみ)選手は弱冠20歳のレーシングドライバー。KYOJYO CUPへの参戦は2024年シーズンで2年目となり、少しずつではあるが着実にポジションをアップし、これからの活躍が期待されるドライバーだ。
そんな佐々木さんは大のヒストリックカーファン。元はといえば、JCCA(日本クラシックカー協会)主催のヒストリックカーレース、Fクラスで常勝を誇っていたCITY AUTO吉田選手の日産「フェアレディ240ZG」に憧れ、レーシングドライバーを目指したのだそうだ。
ダットサンSP/SRオーナーズクラブの厚意で筑波に挑戦
いずれはヒストリックカーのレースにもチャレンジしてみたいという佐々木さんに、ダットサンSP/SRオーナーズクラブ(以下SPSROC)より、「うちのクラブレーシングカーに乗ってみませんか」という嬉しい誘いがあったのは2024年春のことであった。
4月14日、JCCA筑波ミーティングが行われる前日の練習走行日、筑波サーキットガレージには、SPSROC所有のマシンと、クラブ員で長年積極的にレース活動をしている大村正昭氏の2台のレーシング・フェアレディが並んだ。
ちなみに、クラブレーシングは、1970年代に解体屋からクラブメンバーがサルベージした後期型の1969年式。当時物のジムカーナ用マシンだったという。その後JAFの規定に沿ったレーシングカーとなりTACSのMクラスへの参戦を経て、1980年代後半にSクラス仕様へと変更されヒストリックカーレーシシーンで活躍したのち、ここ数年は休車状態であった。このクラブレーシング、過去にイベントや雑誌などの企画で、北野 元、高橋国光、柳田春人、鮒子田寛(敬称略)といった、そうそうたる面々がステアリングを握っている。
そうしたレジェンドに続く佐々木さんは、どのような評価をするのだろうか。
そしてもう1台、大村氏の1967年式SRも同じくSクラス仕様。長年JCCA Sクラスのレースに出場しているが、現在は、「Historic Car Master’s Race」への参戦のため、往年のレーシングタイヤ「DUNLOP CR65」を装着。それぞれの特性を持った2台を、佐々木さんはどう乗りこなすのかも楽しみだ。
バイアスのレーシングタイヤは「やわやわ」…乗りこなせる?
SPSROCのメンバーが見守るなか、まずは大村氏のマシンへと乗り込んだ佐々木さん。ミラーを再確認してコースイン。
「ピットロードで待っている間、エンジンの回転が落ちないように少しアクセルを当ててたのが、やっぱりキャブ車だなと思いました」
と佐々木さんは語る。
「ピットアウトの時に、86やVITAのレースの時のようにアクセルを踏んでしまい、かぶってしまったのですが、インジェクション車との違いを感じました。レーシングスピードの時も踏み込んでの全開時にアレ? となることがあったので、その日の天気や気温によって、キャブレターに対する細かい操作はドライバーの感覚で決めていくものだと感じました」
と完璧に「ヒストリックカーレーサー脳」になっていたようだ。
そして大村氏のマシンはCR65というバイアスのレーシングタイヤ。佐々木さんは今回が初めての体験となるが、どう感じたのか。
「普段乗っているタイヤに比べて“やわやわ”でした(笑)。荷重をかけた時にタイヤが潰れるだけでなくちょっと反発するような感覚もありました。このタイヤにクルマを合わせるのはセットアップが難しそうと感じました」
そうは言うものの、2周目までは慎重に周回を重ねて一度ピットへ戻りタイヤの空気圧を調整し、再びコースへ飛び出すと、徐々にタイムアップ。8周目2度目のピット以降は、無理なくコンスタントに1分12秒台と、初めてのバイアスレーシングを乗りこなした。