ベントレー初のモノコックを採用した「Tシリーズ」をレストア
ベントレー史上初のモノコックモデルである初代「Tシリーズ」が59年ぶりにベントレーのヘリテージコレクションに戻ってきました。このクルマは走行不能のまま15年以上も保管されているのを発見され、ベントレーのスペシャリストであるP&Aウッド社で、1年半以上に及ぶ修復作業の後に再稼働を果たしました。この修復の様子を紹介します。
倉庫に不動のまま数十年間保管されていた
世界最古のベントレー「Tシリーズ」のシェルグレーのスタンダードサルーンが、59年の時を経てクルーに戻ってきた。このクルマは多くのオリジナル部品やコンポーネンツを活かし、慎重に再整備された後に、ベントレーの105年の歴史を物語るロードカーやレースカーが揃うヘリテージコレクションに加わった。
Tシリーズのシャシーナンバー「SBH1001」は社内のトライアルカーとして使用され、1965年のパリ・サロン・ド・オートでの発表の際には報道陣に取り上げられたモデルである。その後、このクルマは15年以上も不動のまま倉庫内に保管され、カバーに覆われた姿で発見された。
今回紹介するこの個体は、Tシリーズの最初の生産ラインから出荷された最初の1台であり、ロールス・ロイス「シルバーシャドウ」に相当する重要な意味を持っていたため、オリジナルの状態を可能な限り維持して展示するという決断が下された。
クラシックベントレーの保存と修復のスペシャリスト「P&Aウッド社」が担当
ベントレー・ヘリテージコレクションの責任者であるマイク・セイヤー氏は次のように説明する。
「Tシリーズは、私たちのヘリテージコレクションを完成させるパズルの最後の2つのピースのうちのひとつです。倉庫の奥で防水シートの下に置かれたこのクルマを発見し、これが一番古いシャシーナンバーを持つモデルだと分かったとき、必ず救わねばと思いました。
Tシリーズのマリナー クーペとともに、この再生されたセダンはベントレーとして初めてモノコック構造を採用し、傑出した1例となりました」
ベントレーの実習生がTシリーズの分解と調査を開始した後、クラシックベントレーの保存と修復のスペシャリストであり、ヘリテージ・コレクションのパートナーでもあるP&Aウッド社のエキスパートチームに託された。共同設立者、アンドリュー・ウッド氏の娘であるルイーズ・ウッド氏がプロジェクトを指揮し、P&Aウッド社で23年のキャリアを持つコーチワーク・マネージャーのデイブ・ロウ氏がサポートした。