専用チューニングが施された1台だった
新車価格が年々上昇し、入門車的な安価なスポーツモデルが減ってきている現在において、まだがんばれば手の届く価格をキープしてくれているのがスズキの「スイフトスポーツ」です。現在、ベースとなった「スイフト」は新型にフルモデルチェンジを果たしていますが、スイフトスポーツは先代型が継続販売されており、200万円台前半からという価格で1.4Lターボと6速MT(もしくは6速AT)を選ぶことができるホットハッチとして、幅広い層に支持されているのはご存知の通りです。
外観はジュニア世界ラリー選手権を戦っていた車両のイメージ
スズキ「スイフトスポーツ」は日本では2003年6月に初代モデルが登場。初代からすでにリーズナブルな価格が魅力の1台だった。すでに20年以上が経過しているとはいえ、初代スイフトスポーツはなんと120万円を切るバーゲンプライスだったのだ。
ただ安価な価格だからといっても、ホットハッチとしては抜かりなく手が加えられており、通常モデルのスイフトにはラインナップされていない3ドアボディや1.5Lエンジンなど、専用装備が盛りだくさんとなっていた。当然ボディは開口部の大きな5ドアよりも3ドアの方が剛性面でも重量面でも有利であることは間違いないが、さらにフロントサスペンションの取り付け部剛性を高める大径のパフォーマンスロッドを装着。
エクステリアには当時参戦していたジュニア世界ラリー選手権(JWRC)を戦っていた車両のイメージを反映させた前後バンパーやオーバーフェンダー、サイドスプラッシュガード、ルーフエンドスポイラーを装着し、ボディ下部の空気抵抗を低減させるために、フロントバンパー下部にエアダムスカートを装着するこだわりぶり。
走りにまつわる部分はほとんどが専用品だった
もちろん足まわりも15mmのローダウンに加えて専用チューニングが与えられ、リアブレーキもディスク化したうえで専用のブレーキパッドを採用。インテリアにはレカロ社と共同開発した専用フロントシートや革巻ステアリング&シフトノブなどがおごられた。
そしてパワートレインにはアルミ鍛造ピストンの採用や高圧縮比化、ハイオク化などがなされた専用チューニングが施されて115psを発生する直列4気筒1.5Lエンジンを搭載。それに組み合わされるのは、クロスレシオ化された5速MTの組み合わせ(ATはなし)というように、走りにまつわる部分はほとんどが専用品となっていたのである。
ここまで手が加えられているにもかかわらず、デビュー時の価格は119万円と超破格だった。まあ当時のスイフトの最廉価グレードは「泣く子も黙る」79万円だったわけなのだが、それでも40万円の予算でここまで手を入れろと言われたらほぼ不可能といっていいハズだ。