AMGのエアロをまとった魅力的な1台
2024年6月17日~24日にかけて、名門ボナムズ・オークション社がオンライン限定で開催した「AMG Rediscovered Online」オークションにおいて、メルセデス・ベンツ「380 SE セダン」が出品されました。外観はAMGのフロント・エアダムやシル・エクステンション、リア・エプロン、象徴的なカラーリングのペンタ・ホイールなどで彩られ、1980年代当時のAMG車らしさが存分に表現されていました。
再メンテナスは必要だが……
ボナムズが開催した「AMG リディスカバード・オンライン」オークションは、車両をメインとしたパート1と、エンジンや各種パーツを始め、オーナーズマニュアルなどにも至る、いわゆるオートモビリアと呼ばれる、ガレージライフを楽しく演出してくれるアイテムの出品がメインとなったパート2に分けて行われた。
ここで紹介する1980年式のメルセデス・ベンツ「380 SE」は、2万5000ドル~3万ドル(オークション当日のレートで約400万円~480万円)のエスティメート(予想落札価格)、そして最低落札価格なしの条件を掲げてパート1に出品されるも入札が得られず、パート2に再度出品されて1万2650ドル(約200万円)という破格で落札されたモデル。
ボナムズによればこのクルマは長期保管されているため再メンテナンスが必要とのことだが、リフレッシュされればメルセデス・ベンツのヤングタイマーとしてしっくりと馴染むことは間違いないという。
多くのメルセデス・ベンツ・エンスージアストにとって、W126型「Sクラス」は、「メルセデス・ベンツらしさ」が表現された最高峰にある1台と考えられている。1979年秋のIAA(フランクフルト・ショー)で発表されたW126は、先代のW116型のデビューとともにその開発がスタートしたとも言われており、開発スタッフはもちろん世界で最高のサルーンを作ることを、その目標としていた。いかなるメーカーのサルーンも、それに追いつくことができないほどに絶対的な性能と品質を誇ること。エンジニアリング・チームはそのために献身的な姿勢を貫き、W126型Sクラスは完成したのである。
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出品車は3.8LのV型8気筒エンジン
ブルーノ・サッコをチーフとするデザイン・チームは、控えめでありながら端正で高性能なボディをW126型Sクラスのために生み出すことに成功した。最終的にスタンダード、ロング、そしてクーペが出揃ったそのボディは、現代の目で見てもきわめて魅力的な造形だった。一方、搭載エンジンに目を向けても、高性能なV型8気筒ガソリンエンジンから、コストパフォーマンスに優れる直列5気筒や6気筒のディーゼルエンジンも用意されるなど、そのラインナップはいかなるカスタマーの要望にも応える幅広さを持ち合わせていた。
そして何よりカスタマーを感動させ、現在でもその評価を保ち続けているのが、クルマのあらゆる部分からにじみ出てくる上質感だ。W126のすべての機能と特徴は、正確で信頼性の高い動作を実現するために慎重に検討、設計されたものであり、Sクラスはその長い生産期間を通じて、メディアやカスタマーから数え切れないほどの賞賛を受けた。
今回出品された380 SEは、そのスタンダード・ボディに、3.8LのV型8気筒エンジンを組み合わせたもの。最高出力は156psで、これに4速ATがフィットされる。そしてリアディファレンシャルはAMGによって3.27の最終減速比を持つものに変更されている。
外観はAMGのフロント・エアダムやシル・エクステンション、リア・エプロン、象徴的なカラーリングのペンタ・ホイールなどで彩られ、1980年代当時のAMG車らしさが存分に表現されているといった印象。長年個人コレクションの「バリー・テイラー・コレクション」によって室内保管されていたこともセールスポイントのひとつとされていた。現在までの走行距離は約7万8000kmという数字だ。
メルセデス・ベンツのヤングタイマー(とはいえそれはすでに40年以上の時を経たモデルだが)で、新たなクラッシックカー生活を始めてみたいというファンには、このリーズナブルなリザルトは、AMGのバリューを考えればなおのこと、気になるところではないだろうか。