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最強F1ドライバー列伝…「フライング・フィン」と呼ばれた「ミカ・ハッキネン」と「キミ・ライコネン」の偉業を振り返る【マクラーレン編】

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TEXT: 藤田竜太(FUJITA Ryuta)  PHOTO: Mercedes-Benz Group AG/Ferrari N.V.

  • 1998年3月8日のオーストラリア グランプリで、マクラーレン・メルセデスは、ミカ・ハッキネンがデビッドクルサードを抑えてワンツーフィニッシュを達成した
  • キミ・ライコネンがマクラーレン・メルセデスで2004年ベルギーGPに優勝
  • 2度のF1世界チャンピオンに輝いたミカ・ハッキネン
  • 2014年から再びフェラーリに在籍したキミ・ライコネン
  • 1998年F1世界選手権でミカ・ハッキネンがマクラーレン・メルセデス MP4/13でドライバーズチャンピオンシップを獲得。写真は1998年11月1日の日本グランプリで、ハッキネンが優勝を果たした際のもの
  • 2006年オーストラリアGPでMP4-17Dのキミ・ライコネン(前)がフェラーリのミハエル・シューマッハ(後)をリード
  • 2006年オーストラリアGPのスタート時のキミ・ライコネン

マクラーレンがF1王座獲得50周年を迎える

マクラーレンがF1王座を獲得してから、50年が経ちました。また、2024年は、伝説的ドライバー、アイルトン・セナ没後30年の節目の年でもあります。ここではマクラーレンに所属していた最強F1ドライバーのミカ・ハッキネンと、キミ・ライコネンを紹介します。

速さのハッキネン、強さのシューマッハ

馬鹿っ速いフィンランド人のドライバーのことを、モータースポーツの世界では「フライング・フィン(空飛ぶフィンランド人)」と呼ぶ。F1の世界でフライング・フィンといえば、まずケケ・ロズベルグ。1984年、第2期ホンダF1参戦で、最初の勝利を挙げた職人ドライバー(マシンはウイリアムズFW09)。1982年のワールドチャンピオンで、息子のニコ・ロズベルグも2016年のワールドチャンピオン(ニコの国籍はドイツ)。

その後、フライング・フィンの称号を引き継いだのが、1998年・1999年のワールドチャンピオンになったミカ・ハッキネン。7度の世界チャンピオンであるミハエル・シューマッハの唯一最大の強敵で、F3時代からの因縁のライバル。

とくに1990年のマカオGPでは、アイルトン・セナが7年間保持していたコースレコードをあっさり更新し、ハッキネンがポールポジションを獲得(シューマッハは2位)。決勝も第1レグはハッキネンが制したが、第2レグはシューマッハが先行。ハッキネンはそのまま2位でも総合優勝できたのに、ペースはシューマッハを上回り、最終ラップにオーバーテイクを試みる。しかしシューマッハがブロックし、2台が接触。シューマッハはウイングを破損しただけでゴールできたが、ハッキネンはリタイア。マカオウイナーはシューマッハに持っていかれた……(このとき、負けたハッキネンは人目もはばからずオイオイと泣いている)。この頃から、速さのハッキネン、強さのシューマッハという評価ができていく。

その後ハッキネンは1991年にロータスからF1デビュー。1993年にマクラーレンに移籍し、マクラーレンでの最初のレースの予選で、エースのセナを上回って見せた。そしてこの年の日本GPがハッキネンの初表彰台(3位)。そして初戴冠を決めたのは、1998年の日本GP。この年からマクラーレンはブリヂストンタイヤを装着し、ハッキネンとともに初めてのタイトルを獲得!

1999年も5勝し、史上7人目の2年連続チャンピオンに。この年、イタリアGPでトップ独走中にコースオフし、グラベルにはまってリタイア。マシンを降りてモンツァの森の中で泣き崩れる姿が空撮され、世界に中継されてしまった。

また、2000年のベルギーGPでは、宿敵シューマッハと大バトルになり、ケメル・ストレート・エンドでシューマッハに追いついたハッキネンは、左にシューマッハ、中央に周回遅れのゾンタ、そして右にハッキネンという3ワイドで、シューマッハをオーバーテイク!「20世紀最高のオーバーテイク」と評されるベストレースをやってのけた。

そして、2002年に正式に引退。圧倒的な速さを持ちつつ、何かというと泣きやすい性質で、恐妻家にも見えたハッキネン。シューマッハがターミネーターと言われたのに対し、まさに対照的な存在だったが、人間らしい感情と脆さ、そしてシューマッハをも上回るきらりとした速さが持ち味の、最高のフライング・フィンだった。

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