発想の転換でブレーキの熱問題を解決する
吸排気やサスペンションのカスタムパーツを手がけるアペックス(A’PEXi)から、ブレーキシステムの冷却効率を高める新作パーツ「N1ブレーキエアシュラウド」がトヨタ「86/GR86」&スバル新旧「BRZ」用にリリースされました。このパーツは、走行風を取り込んでブレーキに直接風を当てて温度を下げることを狙ったものです。今回はサーキットでのテスト現場に潜入して、実際に温度が下がるのかテストしてみました。
(初出:XaCAR 86&BRZ magazine Vol.045)
導風板を設けて走行風を利用してブレーキを冷やす
サーキットを走るトヨタ「GR86/86」&スバル新旧「BRZ」ユーザーにとって、ブレーキの熱対策はつねに悩みの種。とくに気温の高い夏場やブレーキに厳しいコースを走る際は、熱対策を施さないと度々クーリングラップを強いられてしまう。キャリパーとローターを大型化し、熱に対する許容量をアップするという選択肢もあるが、高価なカスタムメニューとなってしまうのが難点。そこでアペックスは、導風板を設け、走行風でブレーキを冷やすという方法を編み出した。
「N1ブレーキエアシュラウド」(4万9500円/消費税込)は、ZN8/ZD8およびZN6/ZC6に適合。キャリパー&ローターの大型化と比較して安価に導入できるだけでなく、ロアアームにボルトオンで簡単に装着できる設計となっている。
それだけに「本当に冷えてくれるの?」と疑問に思うかもしれないが、その効果はとても大きい。画像ギャラリーに掲載したテストデータは筑波コース1000での計測2ラップ目の温度変化を切り出したものだが、キャリパー温度の比較でMax12℃~13℃の差があり、平均温度では約10℃もの違いが出た。しかもグラフでは、N1ブレーキエアシュラウド装着では、無しと比べて温度の変化量も緩やかとなっていて、ラップを重ねれば温度差はさらに広がっていくことが見て分かる。
連続アタックを行っても安定したブレーキフィールが得られた
テストドライバーを務めた久保凛太郎プロは次のようにコメント。
「連続でアタックラップを続けてもブレーキのフィーリングに変化は感じられなかった。タッチも安定していて、安心してラップを重ねることができる」
アペックスとしても、走行会の時間を有意義に使えるよう連続ラップを可能にすることが開発するうえでの目的だったため、狙い通りのテスト結果が得られたというわけだ。
ちなみに、テスト車両はプロジェクトミューのFS4Mキャリパーと315mmローターでブレーキシステムを大型化して熱許容量をアップさせているが、それでも平均温度で約10℃もの温度差となった。ということは、ノーマルキャリパー&ローターであれば、より大きな効果が得られるだろう。確かな冷却効果が得られて、ブレーキシステム変更よりも安価だ。しかもボルトオン設計により、簡単に装着ができる。サーキット走行でブレーキの熱問題を解決したいと考えているユーザーにとって、救いのアイテムとなるに違いない。