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首都高でアルピーヌ「A110」が突然停止! 高速パトロール隊とJAFに救われたある日のことを話そう【KEEP ON RACING】

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TEXT: 太田哲也(OTA Tetsuya)  PHOTO: 横澤靖宏(YOKOSAWA Yasuhiro)/tezzo

どうやったら「ニュートラル」になるのかが分からない!

ところが牽引方法が分からない。A110は通常のオートマではなくセミオートマで、「P」ボタンがない。また電子ブレーキもエンジンもかかっていない状況でどうやって解除できるのだろうかと悩む。また牽引フックを付けられそうな箇所も見当たらない。

ルノー・ジャポンの広報担当者に電話してみたが、やり方は分からず、「アルピーヌ・レスキュー」にも電話したが、同様に方法を知らなかった。どうしようか考えていたら、自分の会社から電話がかかってきて、付き合いのあるルノー所沢と連絡が取れたという。

そこでさっそく、電話でやり方をおしえてもらう。カードキーをスロットに挿してエンジン停止状態のままでNボタンを押せば、ニュートラルになるそうだ。電子サイドブレーキも同じようにすれば解除できてクルマを動かせる状態となる。肝心の牽引フックはといえば、救急セットの中に入っていることを、これまたルノー所沢の担当者が教えてくれた。親切にも駐車場まで実車を見に行って、牽引フックの在り処を確認してきてくれて教えてくれたのである。

牽引フックの取り付けはバンパーをよくみると小さな切欠きがあって、そこにマイナスドライバーの先を差し込んでこじれば、蓋が取れるそうだ。こうした作業に関しては、責任上、パトロール隊は行うことができないそうで、暗くて揺れる首都高速上で電話をかけながら自分で作業をおこなった。牽引フックをようやく取り付けたときは、隊員たちが「できましたね!」と喜んでくれた。

高速パトロール車に牽引してもらって加平入口まで行き、スペースのあるところで止めて、ようやくほっとすることができた。親切にも隊員さんはこのまま一緒にJAFの積載車を待ってくれるらしい。渋滞の原因を自分が作ってしまったことを詫びると、隊員さんは「いいんですよ、故障は仕方ないですから」と言葉をかけてくれた。

以前に、高速道路のパトロール隊員たちに安全運転の講義とドライビングレッスンを行ったことがあるが、こんなカタチで自分がお世話になるとは思ってもみなかった。とても親切で心底ありがたいことである。

同乗できるロードサービスでないと困るよな

ほどなくしてJAFの積載車が到着。助手席に載せてもらい、パトロール隊に手を振って帰ってくることができた。

ちなみにロードサービスは、JAF以外にも保険会社やアルピーヌ・レスキューなどいろいろあるが、JAF以外は積載車に同乗することができない。つまり、自分だけ現場に残されても困ってしまうよな。

それにしても現代のクルマは、何かトラブルがあるとすぐにチェックランプが点灯し、不動となるケースが多い。昔のようにだましだまし帰ってくるということができなくなっている。クルマへのダメージは避けられるが、予想外のところで止まってしまうと、今回のように大事になりかねない。

ちなみに故障の原因は思った通り燃料系で、燃料ポンプの設計ミスらしい。偶然にも同じ日に同様のトラブルで止まってしまったA110もあったようだった。その後、リコールの対象となって、対策品と交換してもらった。

最後になるが、2022年9月10日土曜日夕方18時頃、首都高速6号三郷線上り東京方面で渋滞に巻き込まれたドライバーさんへ。その渋滞の原因は私です。ごめんなさい。

■太田哲也さんのコラムはこちら
KEEP ON RACING
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  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 太田哲也(OTA Tetsuya)
  • 1959年11月6日生まれ。モータージャーナリスト/元プロフェッショナルレーシングドライバー。1986年から当時のトップ・フォーミュラであったF3000やグラチャンに6シーズン出場。マツダのワークスドライバーにも抜擢され、プロトタイプカーのグループCカーによる国内レース出場及び海外テストを担当。ル・マン総合優勝車となるマツダ787Bなどをドライブした経験も持つ。その後GTレースに転向し、イタリアのフェラーリ準ワークスなどから4年連続でル・マン24時間レースにフェラーリF40GTEで出場。同時期に全日本GT選手権などでもフェラーリF40やF355で優勝するなど「日本一のフェラーリ遣い」の異名を取った。50代からは実業家にも転身、チューニング・ブランド「TEZZO」をプロデュース。著書『クラッシュ〜絶望を希望に変える瞬間』『リバース〜クラッシュ2魂の戻る場所』(共に幻冬舎)はベストセラーとなり映画化もされた。2024年度カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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