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かつて日本に正規輸入された「イズデラ」を知っていたら超マニア認定! メルセデスのエンジンを搭載したドイツ製スーパーカーの相場は1億円以上!?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

元イズデラ・ジャパンの正規輸入車両

今回の「Monterey 2024」オークションに「The Turbollection」から出品されたインペラトール108iは1991年式。つまり後期型のシリーズ2で、フロントのヘッドライトがポップアップ式であることでも識別できる。

さらに鋭い観察眼をお持ちのかたなら、シリーズ1と比べるとボディラインがソフトになるとともに、フロントグリルの開口部が大きくなること、フロントホイールアーチの上に通気孔が設けられ、ボンネットにオフセットされたNACAダクトがあることにもお気づきになるかもしれない。

またエキゾーストはリアエンドから、右後輪前方に斜めカットで設けられた上下2連のマフラーエンドに変更されたことにより、結果としてCW311プロトタイプとの類似性が高まった。

もともとこの個体は、日本の顧客に引き渡されるために作られたもの。じつはバブル景気まっさかりのわが国では「イズデラ・ジャパン」も設立され、赤いシリーズ1および、このシルバーのシリーズ2を合わせた2台のみながら、日本に正規輸入されていたのだ。また、当時の日本における輸入車の多くがそうであったように、左ハンドル仕様であった。

ドイツの高級スポーツカーとしてのセオリーに従ったエクステリアは、魅力的な色合いのシルバー塗装で仕上げられ、リッチなブラック本革レザーのインテリアと組み合わされている。

日本で過ごしたのちイギリスからドイツへ

チルト式に開くリアカウルの下には「M119」型5L・V型8気筒4カムシャフト32バルブのエンジンを配置。ZF社製5速マニュアルトランスミッションと組み合わされ、300psを超える大パワーを後輪に伝達する。

長年日本で過ごしたのち、2016年には、このクルマはイギリスで登録されるが、すぐにドイツの企業に売却されることになる。このとき「MePoPres F. Ulbricht GmbH」社によって、部分的なレストアを受けているようだ。

そして2021年、このイズデラは現オーナーである「The Turbollection」コレクションにくわえられた。同年9月の請求書によると、車検が行われ、冷却システム、空調システム、ブレーキが整備されたものの、オークション公式ウェブカタログ掲載時の走行距離は、わずか1912kmにすぎない。

イズデラ インペラトール108iは通算で30台が作られたといわれており、シリーズ2は13台が製作されたというのが定説。この個体はその13台のうちの1台であり、こと希少性については文句のつけようがあるまい。

「このイズデラ インペラトール108i シリーズ2は、カーショーの主役になること間違いなしの特別な1台。その印象的なデザインにV型8気筒のパワー、そしてきわめて希少なこのクルマは、本格的なコレクションにふさわしい、非常に魅力的なクルマ」。そんなPRフレーズを添えて、RMサザビーズ北米本社は「The Turbollection」との協議のもと、80万ドル(約1億1600万円)~100万ドル(約1億4500万円)というエスティメート(推定落札価格)を設定した。

ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、期待されていたほどにはビッド(入札)が伸びなかったようで、残念ながら出品者側が設定したリザーヴ(最低落札価格)には至らず。「No Sale(流札)」に終わってしまった。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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