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なんと1億円!!「ウルス」の始祖「LM002」が相場の倍以上で落札…「ミウラ」と同じデザインのホイールを履いた、ハイセンスなランボルギーニでした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

ヘアアーティストの優れたセンスでレストアされたLM002

今回「Monterey 2024」オークションに出品されたランボルギーニLM002は、もとよりアメリカに向けて製作された個体とのこと。

オリーブグリーンのボディカラーにクリーム色の本革レザー内装が組み合わされたこの個体は、もともと「バリー・トータルフィットネス」社の創設者であるドナヒュー・ワイルドマン氏が購入したと伝えられており、彼の所有のもとではユタ州の登録ナンバー「ALAMB0」が使用されていた。

ワイルドマン氏が2018年に他界したのち、2代目のオーナーが彼の遺品から譲り受け、カリフォルニア州レドンド・ビーチの自動車スペシャリスト「ファスト・カーズ」社によるコスメティックレストアとメカニカルパートも含む大幅なリフレッシュ作業が行われ、この時には9万ドルを超える請求書が計上されている。

ところで、ヘアケア製品を手掛けるコスメ業界において帝王とも称された、故ポール・ミッチェル氏の息子である故アンガス・ミッチェル氏は、弱冠10代の頃にグリーンのLM002を所有しており、手放したあとも、このクルマには特別な想いを抱いていた。そこで、数十年前に所有していたものと同じような色のこの個体を見つけ、アンガスが夢の LM002 を製作するための理想的なベース車両にしたとのことである。

入手した段階でも、すでにインテリアは良好なコンディションが保たれていたにもかかわらず、彼はインテリア全体を新品のカーペットやヘッドライナーに換えるとともに、レザーハイドも同じスペックの本革レザーで新調。今は亡きアンガスの、厳格な鑑識眼に即したものとした。また、現代的なサウンドシステムがインストールされるとともに、すべてのウッドパネルは取り外され、今いちど磨き上げられている。

「ミウラ」のデザインを引用したカスタムホイールを製作

さらにオーナーの研ぎ澄まされたスタイルセンスにふさわしく、アンガスが愛していたもう1台のランボルギーニ「ミウラ」のデザインを引用したカスタムホイールが「EVODインダストリーズ」社によって製作され、スタンダードのスチールホイールから取り換えられている。

アンガスからこのLM002を相続した遺族である現オーナーいわく「オリジナルのスチールホイールと、ポール・ミッチェルの象徴であるシャンプーのボトルもお付けします」とのことであった。

今回のオークション出品に際して、RMサザビーズ北米本社の営業部門は「RAMBO LAMBOの素晴らしい見本であるこの愛すべきクルマは、丘やオフロードのみならず、ロデオドライブなどのハイファッションタウンに至るまで、どこに行っても注目の的となるに違いありません」というPRフレーズとともに、35万ドル~40万ドル(邦貨換算5180万円〜5920万円)という、現在のマーケットにおけるLM002としても若干強気にも感じられてしまうエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、ビッド(入札)が予測をはるかに上回る勢いで殺到し、終わってみれば70万3500ドル、現在の為替レートで日本円に換算すれば約1億円という価格で、競売人の掌中の小さなハンマーが鳴らされることになったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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