輸入SUVの大ヒットモデル、VW T-Crossが初のマイナーチェンジ
2024年の夏、フォルクスワーゲン製SUVの末っ子である「T-Cross(ティークロス)」が、初めてのマイナーチェンジを受けました。2019年の欧州デビューからわずか5年にして、全世界の累計販売台数が120万台を超えたうえに、日本自動車輸入組合(JAIA)が発表したモデル別の新車登録台数統計においては、2020年~2022年の3年連続で輸入SUV人気ナンバーワンに輝く(ちなみに2023年の1位は、同じVWの「T-Roc」)など、日本国内においてもヒット作となったというT-Crossが、はたしていかなる進化を遂げたのか……? その真価を確かめるべく、AMWでも新型T-Crossのテストドライブに臨むことになりました。
デビューから初のマイナーチェンジ、その進化の内容とは?
2024年7月に日本国内デビューを果たして予約受注を開始し、9月には正式なデリバリーも始まったという改良型フォルクスワーゲン「T-Cross(ティークロス)」が、10月1日から正式に発売となった。
改良型では、「クロス」を具象化するかのごとく「X」字型に光るリアコンビランプや、よりシンプルかつスポーティな新デザインのバンパーを採用するなど、エクステリアを大幅にリファインしたとのこと。ボディカラーも新たに「グレープイエロー」と「クリアブルーメタリック」「キングズレッドメタリック」を加え、全8色がラインアップされることになった。
いっぽうインテリアは、ダッシュパネル上面のパッドにソフトな素材を採用することで質感を向上。より快適な車内空間を追求するべく「beatsサウンドシステム」や前席のシートヒーターも装備する。
パワートレインも従来型と同じく全グレードで共通。今回からミラーサイクル化されたという、直列3気筒1L+ターボチャージャーの組み合わせで、116psの最高出力と200Nmの最大トルクを発生する「1.0 TSI」ユニットに7速DSGを組み合わせ、全グレードとも前輪のみを駆動する。
くわえて、いわゆる先進装備としては、T-Crossとしては初となるLEDマトリクスヘッドライト「IQ.LIGHT」を、上級グレードにスタンダード装備。さらに、同一車線内における全車速運転支援システム「トラベルアシスト」も全グレードに標準設定となった。
ラインアップは、ベーシックグレードとなる「TSIアクティブ」(329万9000円/消費税込)と、装備の充実を図られた「TSIスタイル」(359万9000円/消費税込)、さらにスポーティな専用エクステリアで仕立てられた「TSI Rライン」(389万5000円/消費税込)の3種類が用意されている。
また中間グレードとなる「TSIスタイル」には、シックな雰囲気を強調するグレー基調のデザインパッケージ「ミストラル」も、9万9000円(消費税込)のエクストラでオプション設定されるとのことである。
まるでセグメントがワンランクアップしたかのような感覚
先に言明しておきたいのだが、筆者は昨2023年春までVW「Up!」を愛用していたこともあって、ベーシックにして質実剛健な実用車としてのVWには、かなりの好感を抱いているひとりである。それでも、T-Crossが日本に上陸した2020年末に初めて走らせた際には、いささかの不満を覚えないわけでもなかった。
しかし、あれから3年9カ月の時を経て再びステアリングを握ったマイナーチェンジ版のT-Crossは、筆者の記憶の曖昧さを差し引いても、あらゆる面において格段のブラッシュアップが施されているように感じられた。
まずはエクステリア。今回の試乗車両が、最上級&スポーティ版にあたるTSI Rラインだったせいもあってか、車体の周囲をグルっと回って観察してみると、フロントとリアに「シュッとした」感が強まった。
とくに、デザイン上のモチーフとなった姉貴分のT-Rocよりも親しみを持てる、あくまで筆者の個人的感想ながら、ちょっとだけ野暮ったい印象が無きにしも非ずだったマスクは、この改良版では格段にスマートになったかに映る。
そして、相変わらずのシッカリ感のあるドアを開いてシートに腰を降ろすと、「プラスチッキー」と評されていた従来型から格段に質感を向上させたというインテリアに、まるでセグメントがワンランクアップしたかのような感覚を覚えた。