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軽カーだけの熱い戦い「東北660耐久レース」に学ぶ、ドライバーの暑さ対策とは? すでに2025年シーズンの準備が始まっています!

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • ドライバーの暑さ対策
  • 真夏の東北660耐久レースは決勝を走った全チームが無事に完走した。回を重ねるごとにドライバーの暑さ対策も本格的になっていく
  • 定番中の定番はウインドウネット。東北660シリーズではこれを装着しない限り、運転席の窓は完全に閉めなければならないと規則で定められている
  • エアダクトはなるべく直線的に取り付けるのが秘訣。曲がりが多いとドライバーにあまり風が当たらず無用の長物と化してしまうので注意
  • メッシュのベストに冷却パックを仕込み、レーシングスーツの下に着用するチームもあった。1時間くらいならギリギリ使えるとのこと
  • 大活躍する工業用の扇風機。ただしピットに電源がないサーキットもあるので、そのときはエンジン発電機ごと持ち込んで使用したい
  • 使い勝手がいいバッテリー式のファン。持ち運びもできるので赤旗でストップ中、車両の前に置きラジエターを冷やすチームもいた
  • パドックやピットではファン付きウエアが有効。長袖なのでパッと見は暑そうに感じるが、ファンで常に空気が動いており、かなり涼しいとか
  • 暑さと戦うのはピットクルーも一緒。楽しいモータースポーツを熱中症や脱水症状で台なしにしないよう、適度な水分補給を忘れずに
  • 登山用のハイドレーションは価格もリーズナブルで、最近はペットボトルに直結できる製品が増えている。持っておいて損はないはず
  • 脱水症状は非常に危険。自分の命だけではなく他人を危険に巻き込まないためにも、真夏の耐久レースでは給水システムのを推奨する
  • 現地でクールスーツを自作するスタッフ。接着剤は剥がれる可能性があり糸で補強していたようだ。コレなら予算的にも安く済むはず
  • 絶大な効果があるクールスーツ。直に着用すると冷え過ぎて寒いこともあるので、その際はインナーウェアの重ね着などで対応しよう

速く走るために重要な暑さ対策

2024年7月14日にリンクサーキットで開催された東北660耐久レースの第2戦。シリーズでもっとも長い5時間で決勝が争われ、20を超えるチームが熱いバトルを繰り広げた。真夏のサーキットはクルマにも厳しいが、それを操るドライバーの負担も相当に大きい。レース日も朝から強烈な日差しが降り注ぎ、走行が始まるころの気温は30℃オーバー。5時間をノントラブルで走り抜くにはクルマだけではなく、ドライバーをクーリングすることも不可欠といえるのだ。来年の夏に備え、各チームが採用した熱対策を紹介してみよう。

マシン対策でドライバーの疲労を軽減

ほとんどの車両が使っていたのはウインドウネット。運転席の窓を開けて走るために必須のアイテムで、多くのメーカーからさまざまなカラーが発売されている。最初は視界を確保できるか不安に思うかもしれないが、ドアミラーの視認性にはまったく影響を及ぼさず、真横を目視しても見えにくいと感じたことは皆無だ。ただし自作やメーカー不明の格安品ではなく、レースで実績のある大手メーカーを選びたい。

車内に新鮮な空気を取り込むなら、汎用のエアダクトを引くのも有効。ホームセンターなどで売っている蛇腹のダクトを使用し、ドライバーに風を送るのは昔からの常套手段といっていい。ただし曲げがあまり多いと風が届きにくいので注意。また走行中に外れたりしないよう取り付けは確実に行おう。

自身の暑さ対策も有効な手段

続いてはドライバーの装備編。本格的なレーシングカーは室内の断熱材がすべて取り除かれており、水温を下げるためヒーター全開で走ることも珍しくない。8~12周のスプリントレースならまだしも、耐久レースとなれば1スティントが1時間、場合によってはさらに長いケースもあり得る。

そんなときにドライバーを脱水症状から守るのが給水システムで、多くのチームがホースとペットボトルを組み合わせて自作していた。手軽なのは登山用のハイドレーションを使う方法で、近年はペットボトルにそのまま装着するタイプもある。ホースが長いと吸い込みに時間がかかってしまい、さらにはステアリングなど操作のジャマになるので、適度に短くしておくのが使いこなすコツだ。

給水システム

効果テキメンなのは最近メジャーになりつつあるクールスーツ。インナーウェアに縫い付けたホースを氷が入ったボックスに繋げ、冷たい水を循環させドライバーの体温を下げるというシステムで、昨今の猛暑で普及が進んでいる水冷服と同じと考えていいだろう。市販品も以前に比べればだいぶリーズナブルになり、ホースとクーラーボックスなどで自作するチームも多い。

そして暑さ対策が必要なのはドライバーだけに限らず、レースをサポートしてくれるピットクルーも同様だ。多くのチームが工業用の扇風機をピットで使い、またファンが付いたウエアもかなり有効だとか。長袖で日焼けの心配がないのも嬉しい。

* * *

過酷がゆえに完走したときの充実感は大きく、チームの結束力も強まる真夏の耐久レース。熱中症や脱水症状など危険な目に遭わないよう、紹介したそれぞれの対策を参考にしてみてほしい。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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