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昔のターボ車は、なぜ走行後にアイドリングしてた?「アフターアイドリング」が必要なくなった理由と「ターボタイマー」とは

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: AMW

  • タービンは、エンジンを止めるとオイルの供給が止まり、ベアリングが焼き付く危険性があった
  • サーキット走行後はアフターアイドルを行いたい
  • 昔のようにアフターアイドリングする車両は皆無に近い
  • かつて一斉を風靡したターボタイマー
  • サーキット走行を行なった場合は1~2分エンジンをかけたまま温度が下がるのを待つ

今どきのターボ車にアフターアイドリングは不要

かつて、ターボ車のオーナーにとって時には煩わしくもあり、高性能なクルマの所有欲を満たす行為でもあったのが、走った後に行う数分間のアフターアイドリングです。すぐにエンジンを切ったほうが考えるまでもなくガソリンは節約できますが、なぜこんなエコロジーの対極といえる「儀式」が必須とされていたのでしょうか。

ベアリングの焼き付き防止でおこなっていた

ターボ車でアフターアイドリングをしていた理由は、高温になったタービンのベアリングの焼き付き防止で、アフターアイドリングである程度まで冷却するというわけだ。取扱説明書などに「走行後は1〜3分間アイドリングして下さい」と明記されているクルマも多かったが、1990年代の半ばになるとターボ車が市場から減りアフターアイドリングを見る機会も少なくなっていった。

なお当時のターボ車で圧倒的な装着率を誇っていたのが、キーを抜いても一定の時間エンジンが停止しない、通称「ターボタイマー」と呼ばれるチューニングパーツ。アイドリングの時間を自分で細かく設定できるうえ、施錠してクルマから離れても盗難に遭う心配がない。

余談だが30年ほど前に筆者がAE86にタービンを後付けしたときも、ターボタイマーを付け誇らしげにアフターアイドリングしたものだ。そして時代は流れ、ヨーロッパで環境性能や燃費とパワー&トルクを両立した、ダウンサイジングターボが登場し、世界的なトレンドとして日本にも定着する。

しかし昔のようにアフターアイドリングする車両は皆無に近く、自動車メーカーやメディアが必要性を声高に謳うこともない。ターボ車がこれほどまで復権を果たしたにもかかわらず、アフターアイドリングは「懐かしい光景」のまま。その理由を考えてみたい。

まずはタービンの構造が大きく進化したこと。以前はオイルにシャフトが浮いている構造で、エンジンを止めるとオイルの供給が止まり、ベアリングが焼き付く危険性があったのだ。

対して昨今のターボ車で主流といえるボールベアリング式は、オイルに対する依存度が低いうえ材質も精度も飛躍的に向上。加えてタービンのクーリングに油冷と水冷を併用していたり、オイルも昔のターボ車が席巻した時代より高性能になるなど、あらゆる分野の技術が進化した賜物と考えていいだろう。

全開走行した後は、1~2分エンジンをかけておく

そもそもターボ車にアイドリングストップ機能が付いていることが、アフターアイドリングが不要になった何よりの証拠だといっていい。とはいえ少なからず例外はある。その代表が、サーキットのような場所を全開で走り続けた直後。エンジンをレブリミットまで使い周回を重ねれば、発熱量は高速道路を含め一般公道の比じゃない。

いくら冷却系をチューニングしてキャパシティに余裕がある車両といえども、ピットに戻ったら1分ないし2分のアフターアイドリングをしたほうが安心。さらにピットイン前は全開を避けクルージングすれば、タービンだけじゃなくブレーキやタイヤにも優しい。なお高速道路を走り続けた後も不安になるかもしれないが、サーキットに比べれば温度の上昇ははるかに小さいし、車速を落としてパーキングに入って場内を徐行すれば、アフターアイドリングしたのと実質的に変わらない。

結論は今どきのターボ車にアフターアイドリングは不要、ただし全開で走行した後にクーリングせず止まるときは、1~2分エンジンをかけたまま温度が下がるのを待つ。人間がスポーツした後のストレッチみたいなモノと考えよう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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