ホワイトボディ×ダークグレーの組み合わせは1台しかない!
2024年8月15日〜17日にRMサザビーズがアメリカ・モントレーで開催したオークションにおいてランボルギーニ「ディアブロ SE30」が出品されました。シャシーナンバーやエンジンナンバー、そしてギアボックスナンバーなどはすべてランボルギーニのクラシック部門、ポロ・ストリコによって確認されている1台でした。
1990年代のランボルギーニは経営難だった
1998年にアウディ・グループへと収まって以降、それまでにはなかったほどに安定した経営を続けているランボルギーニ。その歴史はすでに60年を超え、最近ではこれまでのV型10気筒自然吸気エンジンを搭載した「ウラカン」に代わるコンパクト・スーパースポーツとして、V型8気筒ツインターボエンジンにPHEVのシステムを組み合わせた「テメラリオ」を発表するなど、積極的な新型車戦略も大きな話題となった。さらに2026年から2030年にかけてはテメラリオ、「レヴエルト」、「ウルス」に続く第4のモデルとして新型のBEVが誕生するという計画も囁かれるなど、その存在感はさらに市場で大きなものになりつつある。
だがその歴史を現在からちょうど半分、ランボルギーニが創立30周年を迎えた1993年にまでさかのぼると、そこには現在の姿など想像することもできないほどの苦難の姿があった。
当時のランボルギーニは1970年代から生産を続けてきた「カウンタック」が、1990年にようやく後継車である「ディアブロ」にフルモデルチェンジした直後。たしかに斬新で高性能なスーパースポーツにほかならなかったが、クライスラーが親会社であったこの時代においてもなお、ランボルギーニの経営は順風満帆なものとはいえなかったのである。
新型車のディアブロにいかに魅力的な商品を追加していくのか。ここにランボルギーニの将来が大きく左右されることは誰の目にも明らかだった。
30周年を記念するスペシャルモデルとは?
その転機としてランボルギーニが考えたのが、自らの創立30周年という節目を利用することだった。同じく25周年の時に発表した「カウンタック 25th アニバーサリー」が、最終的には一連のカウンタック・シリーズでは最大のヒット作となったことも、30周年を記念するスペシャルモデルを開発しようという動きを後押しした。
そしてじっさいにランボルギーニからは1993年に、ふたつのディアブロの進化型が誕生する。ひとつはカウンタックのチーフ・エンジニアであった、かのパオロ・スタンツァーニが理想としていた4WDの駆動方式を持つディアブロ、すなわちセンターデフにビスカスカップリングを使用した「VT」。そしてもう1台がここで紹介するスペシャル・エディション30を意味する「SE30」の名を掲げたモデルである。