袖ヶ浦フォレストレースウェイに「ベイビー・オースティン」3兄弟が集結
ヒストリック二輪車&四輪車の祭典「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」。袖ヶ浦フォレストレースウェイで2024年5月26日に開催された春の回では、オースティン「A30」、「A35」、「A40」の戦後型「ベイビー・オースティン」3兄弟が22台集合し、「フライングAトロフィー」が開催されました。今回は、A30でご夫婦仲良く参加していた伊藤武彦さんを紹介。英国のヒストリックカーにハマった経緯を聞いてみました。
クラシック・ミニで旧いクルマのレースに開眼
モーターレーシング黄金期を再現したイベント「フェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィー」が開催された千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイのパドックは、いつもとは少し違った雰囲気に包まれていた。
日本にいるオースティン「A30」、「A35」、「A40」といった戦後型「ベイビー・オースティン」の3兄弟たちを集めたいという愛好家の呼びかけにより、「フライングAトロフィー」が実現し、その展示エリアには、全国から集まった22台のオースティン3兄弟が並んだ。そのどれもが、それぞれ個性豊かな表情を持ち、見比べるのも楽しい。
この日、A30で参加していたのは、東京都に住む伊藤武彦さんだ。免許取得後、旧いフォルクスワーゲン タイプ1(ビートル)に乗っていたこともあるものの、ヒストリックカーにはさほど興味はなかったそうだが、約10年前のある日、先輩が持つ旧い「ミニ」を運転させてもらうと、その楽しさから旧いクルマの魅力を知ることになった。
「先輩から、そのミニを譲ってもらって、ヒストリックカーレースや、コマ図ラリーといったイベントに参加するようになると友だちも増えて、さらにハマりしました」
その先輩・鈴木 尚さんは、サイドウェイ・トロフィー黎明期より参加しているひとりであり、「サーキットまで自走で行ってレースを楽しみ、また自走で帰るのがクラブマンレーサーだ」というポリシーの持ち主。それに共感した伊藤さんも、譲り受けたミニでヒストリックカーレースを楽しむようになる。
同じAタイプエンジンで縦置き/横置き、FF/FRの違いを楽しむ
そうしたなかで出会い、意気投合した仲間たちと「Times Racing」というチームを作り、このサイドウェイ・トロフィーや東京ベイサイドカップといったヒストリックカーレースを楽しんでいたある時、レース中の事故によりミニは長期の修理を余儀なくされてしまったのだ。
「レース中に追突されて炎上したんですよ。幸い怪我はありませんでしたが、ミニはかなり重症で、修理には何年もかかるということで、別のクルマを考えることになりました」
そうした時に、Times Racingのメンバーでもあり、今回のフライングAトロフィーの発起人でもある仙石祐嗣さんがネットオークションで見つけ、薦めてくれたのがこのA30だった。
一緒に引き取りに行ったというA30は、そこそこ傷んでいたというが、ロールケージも付いており、ボンネットのスリットも入るなど、そこそこレーシング仕様になっていたので、それはラッキーだったそうだ。
紹介してくれた仙石さんはA35でレースに参戦していたことから、経験に基づいた的確なアドバイスもあり、2年前に伊藤さんのA30は完成する。また、ミニも数年かかったが、無事に修理が完了したそうだ。
「同じAタイプエンジンですが、縦置きと横置き、駆動方式もFFとFRですし、それぞれ違った操縦性も楽しいです」
と、現在は2台体制で楽しんでいる伊藤さん。耐久レースには仙石さんと一緒に出るなど、Times Racingのマスコットカーとしても活躍しているA30は、これからも友情の証として、さまざまなシーンでその姿を見せてくれるだろう。
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