熟練テクニックを駆使して王者を目指す!
2024年7月14日に開催された軽自動車だけのレース「東北660耐久レース」の第2戦。エントリーが最多だった3クラスで3位に食い込んだのは、還暦オーバーの熟練ドライバー率いる「VAP Racing」でした。実力派揃いのチームメンバーを紹介します。
輸入車でサーキット走行を楽しんでいた
マシンのオーナーである高松正雄選手は今年で65歳、AGSミッションのHA36S型スズキ「アルト」をドライブする。以前から輸入車でのサーキット走行を趣味としてはいたが、2022年に「東北660 HA36カップ」が始まるとの話を聞き、念願だったレース参戦を実現するべくベース車を購入した。当初は中古車を探したものの価格が意外に高く、思い切って新車からの製作を決意したという。
目標である東北660 HA36カップに参加したのは当然として、軽自動車にハマり同じ車両で走れる「東北660選手権」の4クラス、さらに「東北660耐久レース」までフル参戦を果たすことになった。
2024年3月24日の開幕戦は今回と同じドライバー陣でエントリーしていたが、サーキットへ向かっている最中にトラブルが発生しエンジンブロー。急遽ドライバーのひとりで同じくHA36カップに参戦する、椎名栄一郎選手のマシンに変更して見事3位をゲットした。
今回はその椎名選手がオーバーホールしたエンジンを搭載し、シリーズで最長の5時間を制するべく乗り込んできた。耐久レースだからといってとくに仕様を変えることはなく、「ARYレーシング」のチューニングECUや使うタイヤなども同じ。HA36カップは最低重量の規定があるため、軽量化できるのはボンネットやバッテリーくらいだ。
それよりもボディ全体の重量バランスが大切と考えており、助手席の足もとにはあえて8kgのウエイトを装着している。もともとが軽量でハイトも高いHA36だけに、無闇に軽くしては横転のリスクが増す。重量バランスの是正だけではなく重心を下げる効果もあり、ARYレーシングでは専用のウエイトを販売しているほどだ。
マシンメイクが決まり好タイムを記録!
それらの策が功を奏したのとニューエンジンの恩恵もあり、朝の練習走行では総合4番手/クラス2番手のタイムを記録。予選では4番手とポジションを落とすものの、ポールポジションとは約0.5秒という僅差だった。
決勝はオーナーである高松選手がスタートを担当し、熟練の走りでコンスタントに周回を重ねていく。チームを組む椎名選手と鹿島慎平選手も腕は確かだし、エンジンを含め車両トラブルもなく絶好調。セーフティカーの介入や給油でもポジションを落とさず、逆にひとつ上げ開幕戦と同じ3位でチェッカーを受けた。
2位とはわずか1ラップ差で1位とも2ラップ差。痛恨のエンジンブローから仕切り直しの1戦目としては、今後さらなる躍進が期待できる上々の結果といえるだろう。なお現時点でのシリーズランキングは堂々のトップに君臨。11月24日の最終戦でもポイントを稼ぎチャンピオン獲得、そして2024年シーズン初となる表彰台のてっぺんを目指したい!