オーストラリア・ノーザンテリトリー州でいざドライブ!
オーストラリア・ノーザンテリトリー州でトヨタ「ハイラックス」ベースのキャンピングカー、アポロ「キャンパーバン」をレンタルして、釣り人としてバラマンディの大物を狙う23日間の旅をレポート。ダーウィンの町のレンタカー会社で愛称「アポロ号」を受け取り、釣り仲間と男3人の旅がいよいよスタートしました。
レンタカーを借りたらまずは釣具屋へ
アポロ号の走りは快適そのものだった。さすがに世界のトヨタである。周囲のクルマを見ても、「ハイラックス」「ランドクルーザー」「ランドクルーザー プラド」など、トヨタの4WDが圧倒的に多い。大きな都市ではいろいろなブランドのクルマが走っているが、こういう厳しい環境ではシェアが大きく偏る。世界ナンバーワンの売り上げが伊達ではないことを痛感した。
一度ホテルに戻って荷物とキクを積み、最初に向かったのは釣具屋だった。事前にガイドにおすすめの釣具屋を聞いておいたのだ。ロードサイドの大型店で、バラマンディ用の道具はもちろん、オフショアの大物釣りのタックルも豊富に品揃えされていた。
「カカドゥ国立公園にバラマンディを狙いにいくんだけど」と相談すると、店員がおすすめのルアーに関してひととおり説明をしてくれた。キクは「日本のルアーが一番ですよ」とそっけなかったが、ぼくとケンさんは敬意を表していくつかルアーを購入した。
ガソリンスタンドでいきなり勘違いトラブル発生
釣具屋の隣にガソリンスタンドがあったので、給油していこうということになった。ここから国立公園のキャンプ場まで300kmほど走ることになる。燃料はたっぷり入っているに限る。
ところが、ここでまたトラブルが発生した。
アメリカでの給油は、レジでポンプ(給油機)の番号を告げて、たとえば30ドルなら30ドルを払ってから給油する。そうすると、買った金額のガスが入ったところでポンプが止まるという仕組みだ。ところが、オーストラリアでは、先に燃料(アポロ号の場合はディーゼル)を入れてからレジにいって支払いをする。
これを知らなかったため、ぼくはレジで「ポンプ1番、20ドル、ディーゼル」といってカードを差し出した。店員が一度受け取ったカードを戻したので、てっきり支払いが済んだと勘違いしてしまった。ポンプに戻って給油を開始。20ドルのところで止まらないので不思議に思いつつも、入った分だけチャージされるのだろうと思い込んで、そのまま発進してしまった。
アポロのリズさんから「燃料代を払うのを忘れているようだ」とメッセージが入ったのはその晩で、ぼくはようやく仕組みの違いに気がついたのだった。ガソリンスタンドの電話番号があったので、すぐに連絡をして、翌週の月曜にダーウィンに戻ったときに支払いにいくことで話が落着した。
オーストラリアとアメリカでは言葉もけっこう違っている
余談だが、アメリカとオーストラリアでは違うことがいくつかある。アメリカで舗装路は「paved(ペイブド)」だが、オーストラリアでは「sealed(シールド)」、未舗装路は「unsealed(アンシールド)」という。キャンプ場の外部電源は、アメリカでは「hook up(フックアップ)」、オーストラリアでは「powered(パワード)」だ。
また、ビールを注文するときに、アメリカでは大ジョッキが「pint(パイント)」、中ジョッキが「half pint(ハーフパイント)」だが、オーストラリアの中ジョッキは「schooner(スクーナー)」という。ちなみにスクーナーはハーフパイントよりも少し量が多い。アメリカや日本でいうブラックコーヒーは、「long black(ロングブラック)」と呼ぶ。では「short black(ショートブラック)」は何かというとエスプレッソを指す。トイレの使用中、アメリカは「occupied」、
旅行をしていて一番いいのは、オーストラリアではチップがないこと。アメリカでは20%以上もチップを要求されることが珍しくない。あれは本当に悪い習慣だと、つくづく感じた。
大自然の中ではカンガルーバーも必須の実用アイテム
6月17日午後1時、ダーウィンを出発。スチュアートハイウェイを一路、東に向かう。路面もよく、快適なドライブだ。制限時速は130km/hだが、リズさんとの約束を守り、110km/hで巡航する。実際、120km/hを超えると車体に揺れが発生する。安全に走行するには、110km/hがいいようだ。
なお、110km/hの巡行で、燃費は7km/Lだった。ディーゼルの価格は、約200円/Lで、ガソリンより少し高い。距離を走るので、燃料代もバカにならない。その点でも3人で旅行をするのは経済的だ。
ハイウェイといっても自動車専用道ではなく、料金も無料。道路の両脇では野焼きをしていいて、ときには道路のすぐ横まで火が迫っている箇所もあった。道路脇にはクルマにはねられたカンガルーの死体があり、そこに鳥が群がっている。クルマのフロントにつけるプロテクターをカンガルーバーと呼ぶが、まさにそれが必要だ。
道路脇の標識で気になったのが「flood way」。これが頻出する。今は乾季だから道路があるが、これが雨季には完全に冠水するという。どのクルマにもついているインテークは、水がボンネットの高さになっても走行するために必要なのだ。
しかも、地域によっては冠水どころではなく、2~3月には3mもの水の底になるという。こんなにだだっ広い大地が水底になるとはにわかに信じられないが、それほどに自然の力は凄まじいのだ。
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