最強の名に相応しい1000馬力オーバーのZR1とその先にあるもの
そもそもコルベットにZR1が初めて登場したのはC3型の時代で、1970年から1972年の2年間にわたって「ZR-1スペシャルパッケージ」というオプションが設定された。LT1エンジンを搭載し、足まわりやブレーキなどの強化されたパーツが用意され、53台が製造されたという。
次に登場したのはC4型になってから。当時、GMの傘下だったロータスが作り上げた最高出力385psを発生するオールアルミ製のV8 DOHCエンジンを搭載。これに精密な6速MTを組み合わせたC4の「ZR-1」は決して直線番長なモンスターマシンではなく、シボレー自ら「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」と呼ぶほどスポーツカーとしてバランスの取れた1台だった。
そんな「King of the Hill」の名を受け継いだのが、ミッドシップレイアウトへと変貌を遂げたC8の最強バージョンとなる「ZR1」だ。「The King of the Hill returns(キング・オブ・ザ・ヒルが帰ってくる)」と謳われる今モデルは、前述したように1000psオーバー&1000Nmオーバーのエンジンを搭載し、足まわりにはマグネティックライドダンパー(磁性流体ダンパー)を採用。さらにオプションとしてサーキット走行に特化した足まわりの「ZTKパフォーマンスパッケージ」を用意している。
このほかにもカーボン製の空力パーツを装備し、トップスピードでの走行時には1200ポンド(約544kg)ものダウンフォースを発生させ、カーボンコンポジットディスクのブレーキシステムを装備するなど、まさに最強の名にふさわしい1台となっている。なお、GMはそんな最強モデルであるZR1をベースに、すでに市販されているE-Rayの、ハイブリッドシステムを組み合わせたモデルを開発中との噂。C8コルベットの進化はとどまることを知らないようだ。