ボーイズレーサー仕様のヤンチャなライフ
1967年にデビューして大ヒットとなったホンダ「N360」の後継モデルとして、1971年に「ライフ」が登場しました。エンジンは空冷式から水冷式とし、エンジンはカムをタイミングベルトで駆動することでチェーンからの異音を大幅にカット。4ドアボディやテールゲート付きの3ドアワゴンもラインアップすることで、幅広いユーザー層から支持されました。今回は、そんなライフをこよなく愛する“うっち”さんのカスタムカーを見ていきます。
複数台のライフを所有するマニアが作り込む
兵庫県でサブロク好きとして有名な“うっち”さんは部品取り車を含め、自宅に複数台を所有。今回イベントに展示していた愛車は、当時流行ったボーイズレーサーを彷彿させるスタイルで作り込んだマシンということだった。
「若い頃は走り屋として峠遊び、ドリフト遊びもひと通り経験しました」
と話す“うっち”さんは、カスタム、チューニングにも詳しい人物。このクルマは基本的に“うっち”さんが加工、セッティングまでこなしている。メカに強いプライベーターとしてチューナー並みのスキルを持つ彼のホンダ「ライフ」は、ノーマルの小柄でキュートなイメージとは違い、少しとんがったヤンチャ仕様がポイント。もちろんそれは見た目だけでなく、中身のメカニズムもきっちり考え作り込まれていた。
エンジンルームにはアメリカ発祥のカスタムテクニックを導入
スタイルは往年のボーイズレーサーとしてオーバーフェンダー、チンスポ、大型リアスポイラーを装着。フロントバンパーレスとすることで、ヤンチャなカスタム車をアピールする。また、搭載するエンジンは360ccのままでは非力すぎるため、純正エンジンブロックの加工限界を極めた400ccボアアップ仕様へ変更。本体の排気量アップ、ボーリング加工に加えて軽量フライホイールも装着させることで、ハイレスポンス仕様のパワーユニットを完成させた。
エンジンルームを覗いて見ると赤いヘッドとキャブが誇らしげだが、よく見るとエンジンルーム内がスッキリしていてる。これは昔のクルマだからという理由ではなく、ワイヤータックという手法を用いたカスタム技で、エンジンルームの配線類をタック(隠す)することでシンプルに綺麗に見せる。これはアメリカ発祥のカスタムテクニックで、うっちさんはそれを旧車ライフの作り込みの中に取り入れた。したがって、バッテリー等は室内に移設されている。
エンジンルーム内はいくつか穴が開いたままの状態になっているが、これは「これだけエンジンルームにあった物を排除したんだよ」ということをアピールするために残している。あえてスムージングしない点もこだわりというわけだ。
部品取り用として悪ノリで作ったクルマが今ではお気に入りの1台に
ローダウンフォルムを作り出すサスペンションは、専用の車高調キットを製作。ベースはホンダ「ビート」用を加工し、日産S13型「シルビア」用のピロアッパーマウントを組み合わせてセット。キャンバーも可能な限り装着し、クイックなハンドリングで走りを楽しむことができるという。
「このクルマは、もともと部品取り用として悪ノリで作った1台でした。しかし、カスタムしていくうちに面白くなってしまってこんな仕様が完成しました。今ではすっかりお気に入りの1台になり、イベント参加の出番も多くなりました」
という。今後は移動中の乗り心地が良くないので、サスペンションの見直しを行う予定ということだった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)