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山道の道路脇でたまに見かける砂を盛り上げたスロープはいつ使う?「緊急退避所」の目的と下り坂でブレーキトラブルに見舞われない走り方を解説します

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TEXT: 平塚直樹(HIRATSUKA Naoki)  PHOTO: AMW/photo AC

  • クルマがブレーキトラブルを起こした際に使う緊急退避所
  • 緊急退避所は最悪のケースを想定し、故障車が避難することで被害を最小限に留める場所として設けられている
  • 坂の勾配に応じてエンジンブレーキを併用しよう
  • フットブレーキだけを使ってしまうと、ブレーキが効かなくなるフェード現象やベーパーロックが発生する場合があるので注意が必要
  • フェード現象は下り坂でフットブレーキを多用することで、ブレーキディスクとパッドが高温となり、摩擦力が低下し、徐々にブレーキの利きが悪くなる現象のこと
  • 緊急退避所は道路脇に砂などを盛り上げ、スロープ状の上り坂になっている
  • 坂の勾配に応じてAT車では、「D-」や「B」レンジなど、アクセルを離したときの減速度を上げるモードにして走ろう
  • 緊急退避所とは、文字通り、「緊急事態の際に退避する場所」のこと

山道で見る緊急退避所とは

山道の下り坂などで、たまに見かける「緊急退避所」という看板。そこにはたいていの場合、道路脇に砂などを盛り上げ、スロープ状の上り坂になっている場所があります。これは、クルマがブレーキトラブルを起こした際に使うものですが、最近はあまり使われていないとも聞きます。では実際に、どんなケースを想定して設置されたものなのでしょうか?

緊急退避所の目的

緊急退避所とは、文字通り、「緊急事態の際に退避する場所」のことだ。では、どういった緊急事態なのか。最近は、地震やゲリラ豪雨による水害などを思い浮かべやすい。またトイレを我慢することだって、人によっては緊急事態だ。

だがここでいう緊急とは、それらのいずれとも違う。正解は、「ブレーキが効かなくなった」状態のことだ。クルマがブレーキトラブルを起こし、減速ができなくなった際、大事故を防ぐために、そこに突入して停止するための設備が「緊急退避所」なのだ。

突っ込んだ先(緊急退避所)は前述の通り、上り勾配で砂なども敷き詰めている場所。それらの抵抗によって、ブレーキが故障したクルマの減速・停止をできるようにしているのだ。

もちろん、突っ込んだクルマはダメージを負うだろうし、乗員もケガする可能性はある。ただし、長い下り坂などで、減速や停止が不能だとすると、まさに暴走状態となる。高い速度のままクルマが進んでしまい、危険度はかなり増す。そのクルマはもちろん、周囲のクルマも巻き込まれるなどで、死亡事故すら起きかねないだろう。緊急退避所は、そうした最悪のケースを想定し、故障車が避難することで、被害を最小限に留める場所として設けられているのだ。

主なブレーキトラブル

では実際、山道の下り坂などではどんなブレーキトラブルが考えられるのか? 

フェード現象

まずは「フェード現象」だ。これは、下り坂でフットブレーキを多用することで、ブレーキディスクとパッドが高温となり、摩擦力が低下し、徐々にブレーキの利きが悪くなる現象を指す。とくに、古い車種や商用車などに使われているドラムブレーキは、構造上ディスクブレーキより放熱性が悪く、よりフェードが起きやすいといわれている。

ペーパーロック現象

また、「ベーパーロック」も下り坂で起こりやすいブレーキトラブルのひとつだ。フェード現象と同じく、フットブレーキを多用することで起こるのだが、この場合は、ブレーキフルード(ブレーキ液)の沸騰により、気泡が発生することが要因だ。

ブレーキペダルを踏み込んだときの入力を、油圧により伝えるのがブレーキフルード(ブレーキ液)だが、ふわふわした気泡が発生すると、入力が伝わらず、ブレーキパッドを押さえるための力が伝わらなくなる。これにより踏んだブレーキペダルがフロアまでいってしまい、突然ブレーキが利かなくなってしまう現象が起こるのだ。

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