スーパーGTも開催される国際サーキットでの熱いバトル
新旧を問わず過給器が付いた軽自動車なら何でも参加でき、チューニングの自由度も高いレースが「東北660ターボGP」。今シーズンの折り返しに当たる第3戦が、2024年8月25日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されました。レースのレポートをお届けします。
遠方からも多数のエントリーがあり賑わった
エンジンに厳しい真夏ということもありエントリーは少なめだったが、スーパーGTなどの舞台として知られるコースを走りたいという人も多く、地元のみならず関東や北陸からの遠征組の姿も散見された。
当日のコンディションは今にも雨が振り出しそうな曇天で、気温こそさほど高くないものの強烈な湿気が常にまとわりつく。朝イチの練習走行こそドライ路面で走行できたが、インターバルに小雨があり予選は部分的にウエット。だがレコードラインはほぼドライと考えてよく、ほとんどの車両が練習のタイムを軽々と上まわった。
タービンを交換し100ps~が目安の1クラスは、256号車 齋藤博文選手が1分43秒306でポールを奪取し、2番手には2.8秒のビハインドで880号車 金澤延行選手が続く。2クラスは前戦からステップアップした89号車 松山雄大選手が、2番手に約9秒もの大差を付けてぶっちぎりのポール。3クラスは前戦が初参加だった312号車 岡野知大選手、NAとダブルエントリーの173号車 阿部優翔選手、旧規格アルトワークスを駆る53号車 猪狩優希選手の順で並ぶ。
3クラスは毎周順位が入れ替わるレース展開に
決勝レースを迎えても路面の状況はさほど変わらず、レコードラインを走っている分にはドライだが、少しでも外れるとテールスライドを誘発しかねない。とはいえ経験者が揃っているだけにスタートも大きな混乱はなく、各車とも抜きつ抜かれつを繰り返しながら周回を重ねていく。
1クラスは大ベテランで不動のチャンプである金澤選手が本領を発揮し、ファステストラップの1分44秒259を記録しながら齋藤選手を追う。しかし8周のレースで逆転するほどのパワー差がなく、齋藤選手が0.367秒差で開幕戦からの3連勝を飾った。
2クラスは松山選手がライバルをまったく寄せ付けず圧勝。なお2クラスは100psまでのタービン交換が認められているが、松山選手のスズキ「カプチーノ」は3クラス時代と同じ純正タービンのままだ。新規格に比べて軽いボディの恩恵があるとはいえ、このタイムは公式レースでも実績を残す松山選手の技術があってこそだろう。
3クラスのトップ争いはギャラリーから毎周歓声が上がるほど激しかった。岡野選手と阿部選手がグランドスタンド前に帰ってくるたびに順位を入れ替え、かつ接触どころか悪質なブロックもないお手本のようなクリーンなバトルを展開する。最後まで目が離せなかった争いは0.26秒差で阿部が逆転。レース前に「NAとターボのダブル優勝を狙います!」と宣言していた阿部選手、応援に来ていたクルマ好きの父が見守るなかみごとに有言実行を果たした。3位は予選と変わらず猪狩選手で表彰台の一角をゲットしている。
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残るは11月24日にエビスサーキット西コースで行われる最終戦。1クラスは2023年まで絶対王者として君臨した金澤選手のリベンジに期待したい。2クラスは途中からステップアップした松山選手が、大柴選手ら第3戦までの全戦参加組にどこまで迫れるか。
そして3クラスは今回ロールケージ装着のマシンが間に合わず欠場した、ベテランの19号車 日向繁美選手が満を持してエントリーしてくると思われる。全戦参加のポイントは付与されないが、それを差し引いてもランキング上位は確実だ。第1戦と第2戦はいずれも阿部選手より上のポジションで決勝レースを終えており、阿部選手にとっては日向選手を抑えることが最大のハードルになりそうな予感だ。