ステアリングから手を放すことなく操作が可能
2023年のジャパンモビリティショーでトヨタ「ランドクルーザー250」に搭載され、こっそり発表されていた「NEO Steer(ネオステア)」が2024年のH.C.R. 国際福祉機器展に初出品となっていました。上腕だけでクルマを運転することができる、この新しいハンドドライブユニットをインストールした車両は、もちろんこの会場でも大いに注目を集めることとなりました。
より現実的な進化を遂げたネオステア
「H.C.R.2024第51回国際福祉機器展&フォーラム」のリアル展が2024年10月2日(水) ~ 4日(金)の3日間、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された。高齢者や障がい者の自立促進と社会参加のための、福祉機器やリハビリテーション機器、そしてケアをする人のための用品や介護機器などを一堂にそろえた展示会で、今回は海外からの50社を含む402の企業と団体が参加した。
自動車各社も出展をしていたが、トヨタブースでは「すべての“行きたい”を叶えていきたい」のスローガンのもと、ウェルキャブ車両の紹介から、トレーラータイプの移動型のバリアフリートイレ「モバイルトイレ」、能登の被災地で実際に活動を展開していたサウナカー「NUKU MARU」などが持ち込まれていた。
そのブースの片隅には、「ランドクルーザー250」が展示されていた。そこに展示されていたのは、アクセルペダルもブレーキペダルも取り払ったもので、ステアリングは丸形状ではなく、台形の形をした「NEO Steer(ネオステア)」が装着されていた。
このネオステアは、パラアルペンスキーの森井大輝選手の豊田章男会長への直談判から始まった企画で、ハンドルまわりだけで車両の運転操作をすべて完結するもの。いわゆるハンドドライブユニットであるが、後付けではないため、足元のペダル類は取り払ってあり、足元はかなりゆったりとしたものとなっている。
11カ月ぶりの一般公開となったわけだが、ネオステア自体は大きく進化を遂げていた。前回、ステアリングの下端を横に貫いていたパームレストの役割をするバーのようなものがレイアウトされていたが、今回のモデルにはそれがなくなり、ステアリング裏側にあるレバー類、そしてアクセルレバーも形状を見直し、進化をしているようだ。
さらに各種ボタン類がステアリング上に配置されている。ステアリングコラムセンター左側にはクルーズコントロールやハンズフリーなど走行系の機能、右側にはエンタメ系のコントロールボタンなどを集中配置。さらにワイパーやライト、ウインカーといったレバー操作が必要であったスイッチ類も、ステアリング上に移設となり、ステアリングから手を放すことなく、すべての操作が可能となった。
完成度が上がったわけだが、実際の車両への搭載にはまだ時間がかかるようである。機能面というよりは法規上のところでのすり合わせが必要だとか。1日でも早い販売、そして幅広い車種展開に期待したい。