空力を意識したデザインも魅力的だった
実際に市販されたクルマは、3ドアハッチバックのコルディアと4ドアノッチバックセダンのトレディアとがあった。当時のミラージュIIの4ドアはホイールベースが2380mmだったのに対してコルディア/トレディアのホイールベースは2445mmと65mm長く、3ドアハッチバックのコルディアは少し間延びして見えなくもなく、トレディアをミラージュIIの4ドアノッチバックセダンと較べると、全高はトレディアが20mm高かったものの全長はミラージュIIセダンのほうが175mm短く、相対的にミラージュIIのほうが小気味よいルックスに見えたかも知れない。
またトレディアもコルディアも、シトロエンほどではなかったがリアフェンダーのアーチラインはタイヤをわずかに隠すデザインで、これは空力を意識したものといった表記を、どこかの資料で読んだ覚えがある。ただし当時の筆者の個人的な感覚では、1978年に登場した初代ミラージュがスタイルに代表される斬新さが魅力だったのに対して、トレディア/コルディアは、後から登場したクルマながら、新型車感がやや弱い……そんな思いを抱いた覚えがある。
とはいえ性能面では、日本初の1600ターボを謳うサターン1600ターボ、G32Bターボがフラッグシップだった。三菱らしくターボに関してはグループ内での自社開発で「純国産の純血ターボ」をアピールしていたほか、初代ミラージュ同様に、MT車ではエコノミー/パワーを切り替えられるスーパーシフトを採用。走りのポテンシャルを広げていた。また1800のエンジンではサイレントシャフトが使われ「4気筒エンジンで8気筒並みの静かさを生む」とカタログでも紹介。併せて「この技術は西独ポルシェ社が、三菱自動車の技術使用許諾を得て、新開発ニューモデルポルシェ944に採用」とも、さり気なく記しているのは、今考えると物凄いことかも知れない。