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旧規格の軽カーでレースを満喫! スズキ「アルトワークス」をメンテしながら「東北660ターボGP」で表彰台に乗るためのクルマづくりとは?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • ターボGPに参戦する猪狩選手のアルトワークス
  • スズキ アルトワークス:タービンどころかECUもノーマルだ。ただし古いクルマだけにオイルやプラグなど、メンテナンスにはかなり気を配っているという
  • スズキ アルトワークス:ラジエターは銅の3層式に変更して容量アップ。第3戦は真夏に開催されたためノーマルではオーバーヒートに陥る可能性があった
  • スズキ アルトワークス:3クラスは純正タービンならブーストアップは自由だ。猪狩選手のアルトワークスは純正のままだが軽量ボディの恩恵で互角に戦えている
  • スズキ アルトワークス:車両規定ではまだ「強く推奨」のロールケージを率先して装着。カーペットやアンダーコートはすべて取り外して軽さに磨きをかける
  • スズキ アルトワークス:ボディの腐食はCR22Sのみならず、旧規格なら誰もが抱える悩みだろう。スポットが打たれている部分はとくに錆が発生しやすいとか
  • スズキ アルトワークス:H系のハブを流用しP.C.D.を前後とも100に変更。さらにフロントのブレーキはスズキ「Keiターボ」用、タイヤはブリヂストン ポテンザRE-71RSを装着する
  • スズキ アルトワークス:当初は強いアンダーステアとリアのブレーキロックに悩まされた。少しずつ改善はされているが、もう少しセッティングを煮詰めたい
  • 今年の初レースながら3位で表彰台に登ることができた。最終戦はスポーツランドSUGOほどパワーの差が出ないエビスサーキット西コース。タイムも順位も楽しみだ
  • 猪狩選手は東北660シリーズでは主戦場であるターボGPのほか、耐久レースでステアリングを握ることもある。マツ耐に参加した経験も持つ
  • スズキ アルトワークス:シングルカムのH系からCR22Sアルトワークスに乗り換え。スポーツランドSUGO初開催の昨年から大幅なタイムアップを果たした

比較的参戦しやすいターボGP

2017年の7月にスタートした「東北660ターボGP」は、過給器の付いた軽自動車によるスプリントレース。チューニングの自由度が高いうえ新規格も旧規格もOKという、「東北660」シリーズのなかでもっとも参加しやすいカテゴリーです。とはいえ、今の主力はポテンシャルが高くタマ数も豊富な新規格。俗にいう旧規格は純正パーツも社外パーツも少なく維持が困難な状況で、サーキットをガンガン攻めるユーザーは減少の一途を辿っています。そんな状況のなか、旧規格のスズキ「アルトワークス」で参戦し続け、2024年シーズンの第3戦で表彰台の一角を勝ち取ったドライバーを紹介します。

旧規格はチューニングよりもメンテナンスが大事

F6Aツインカムターボを搭載するCR22S型スズキ「アルトワークス」を駆る猪狩優希選手が今回の主人公。以前はH系と呼ばれるアルトワークスに乗っていたそうだが、エンジンが非力なシングルカムだったため乗り換えを決意した。

とくに差を感じたのは高回転のパワーとトルクで、軽量なボディとの相乗効果で加速はバツグン。タービンどころかブーストすらノーマルのままでも、ブーストアップ勢と互角に戦えるポテンシャルを持つ。

年式が古いため神経と予算を使うのはチューニングよりメンテナンス。最大のメリットといっていい軽量なボディは、見えない部分も含め腐食との戦いだと話す。とくにフロアのスポット部分やリアストラットの付け根が弱点で、定期的に確認しつつ必要に応じて補修を行っているそうだ。

また当時のタイヤや路面をベースに設計されたハブベアリングは、最新のハイグリップタイヤに対して強度が明らかに不足している。そこで他車から前後のブレーキごと流用し、P.C.D.はノーマルの114.3から100に変更。ブレーキパッド選びには再考の余地を残すものの、トラブルの不安からは解放されたという。

現行車にも迫る速さを披露した

そんな旧規格で最新のマシンに挑む猪狩選手だが、2024年は諸事情により第3戦が初めてのレース。軽自動車にとって超ハイスピードコースといえるスポーツランドSUGOは、軽さがメリットになると同時にシャシー性能の低さがデメリットにもなる。目標を控えめに「自己ベスト更新」と掲げつつ、練習走行はさほど攻めることもなく1分56秒769。この時点で早くも昨年のベストタイムを更新した。

続く予選では1分53秒996とさらにタイムを上げ、3クラス3番手という好ポジションをゲットする。決勝こそ上位のホンダ「S660」とHA36型「アルトワークス」に届かなかったが、最終ラップまで安定したドライビングを続け3位でフィニッシュ。今回に備えて施した車高やキャンバーなど、数々のセッティング変更が見事に的中した。

もっともスプリングレートを筆頭にまだ進化できる部分はあり、3クラスで装着が認められている機械式LSDもまだ装着していない。2024年11月24日(日)にエビスサーキット西コースで開催される最終戦、そして来年に向けどこまでマシンを仕上げてくるか楽しみだ。

もうひとつの目標を「クルマをキレイにしたいです」と話す猪狩選手。単なる東北660ターボGPを戦うマシンとしてだけにとどまらず、カーライフをともに過ごす相棒としての愛着が感じられるひと言だ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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