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なぜBMWにイタリア車みたいなクラシックカーが…!? 希少な「1600GT」が1130万円で落札! たった14カ月しか生産されなかった理由とは

なぜBMWにイタリア車みたいなクラシックカーが…!? 希少な「1600GT」が1130万円で落札! たった14カ月しか生産されなかった理由とは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

時代考証バッチリの高度なレストアが施された個体だったが……

この夏、RMサザビーズ「Monterey 2024」オークションに出品された1968年式BMW 1600GTは、「グラナダ・レッド」のボディカラーにブラックの「レザレット(ビニールレザー)」のインテリアを組み合わせるという、新車として旧グラース社ディンゴルフィンク工場から出荷された際と同じ、純正のカラーコンビネーションで仕上げられている。

この1600GTは、つい最近オランダの著名なクラシックBMWスペシャリストである「オルデンザール・クラシックス」社によって、現在の美しい状態にまで仕上げられたばかりとのこと。

レストア時に意識された、オリジナル性への徹底したこだわりは、クローム仕上げの14インチ径ホイールと、BMWのクレスト入り丸型ハーフキャップ、フロントのディスクブレーキ、穴あきのレザレット製ヘッドライナー、メトリック(メートル法)の「VDO」社製メーター、純正のウッドリム・ステアリングホイール、そしてプッシュボタン式ラジオに至るまで、すべて新車当時の純正コンポーネンツで構成されていることからも、きっとご理解いただけるだろう。

今や世界中で注目されるスポーツクーペのひとつ

BMW 1600GTは、グラース×マッジョーラ由来となる希少性や、ストーリーのある生産工程。名匠ピエトロ・フルアによる、美しいボディワーク。さらにBMWの身上であるドライビングダイナミクスの楽しさから、今や世界中で注目されるスポーツクーペのひとつとなった。しかし、この極めて後期に製造され、正しくレストアされた1600GTに匹敵するような車両が国際マーケットに出回る機会は非常に少ない。この事実は、自身のコレクション拡充を図ろうとしているワールドクラスのBMWコレクターならば、間違いなく痛感しているはずだ。

そのような考察と目算に基づき、RMサザビーズ北米本社は現オーナーとの協議のもと、10万ドル~14万ドル(邦貨換算約1480万円〜2072万円)という、かなり強気にも映るエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

ところが、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、期待されていたほどにはビッド(入札)が伸びなかったようだ。そして、もとより「リザーヴ(最低落札価格)」を設定していなかったのか、あるいは競売の真っ最中に現オーナーから許可をとったかは不明ながら、エスティメート下限を大幅に割り込む7万5600ドル。現在のレートで日本円に換算すれば、約1130万円で落札されるに至ったのである。

ただしこのハンマープライスは、ここ数年におけるBMW 1600GTの販売事例のなかでも、かなり高価なものであることも間違いのないところ。つまり、売り手の期待値とマーケットの対応は、必ずしも一致しないということなのであろう。

>>>BMWの専門誌「BMW LIFE2」はこちら(外部サイト)

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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