ベゼルの開発期間は9カ月
ベゼルはサテン仕上げとポリッシュ仕上げからなるグレード5チタン製のセカンドベゼルの上に配置され、高度なエンジニアリングを実現している。これらの開発には9カ月を要し、8つのプロトタイプが試作された。またベゼル上部の最も薄い部分の厚さはわずか0.5mmで、これはリシャール・ミル史上最も薄い。
クラウンはマクラーレンのホイールデザインをベースにした新しいスケルトン構造のチタン製ダイヤルデザインを採用。シフトレバーのごとく、3つの異なるポジション、W(Winding:巻き上げ)、D(Date:日付)、H(Hand-setting:時刻合わせ)を選択できる。
このRM 65-01 マクラーレンW1のために特別に設計されたクラウンは、W1のドライブシャフトに見られるスプラインをモチーフにしている。グリップを考慮し、パパイヤオレンジのラバーコーティング、そしてパパイヤカラーのスピードマークがあしらわれている。
また、クロノグラフのプッシュボタンと高速巻き上げボタンの形状もホイールデザインからインスピレーションを得ており、これらのボタンはすべて、W1をモチーフに精巧に作り上げられたチタンフレーム上に配置されている。
W1のエンジンカバーとグランドエフェクトスポイラーに見られるフォイルやダクトの空力学的角度は、パパイヤオレンジのラバーストラップに施されたパターンに反映されており、時計を裏返してサファイアクリスタルのケースバックを覗くと、見事な仕上がりのムーブメントが姿を現す。
AMWノミカタ
自動車メーカーと時計メーカーは親和性が良く、たびたびコラボモデルを発表することがあるが、ここまで色濃く自動車メーカーの思想を反映し、きちんと説明しているモデルは少ないのではないだろうか。
リシャール・ミルの公式ホームページを訪れると、このモデルのさらに細かい部品の写真を見ることができるが、その加工の美しさにはおもわず息を呑んでしまう。リシャール・ミルの哲学は、
「我々が目指していたのは、当時隆盛を極めていた伝統主義と袂を別つような、徹底して革新的な時計を設計すること。採用したのは、ベストなもののみを目指すという原則だけです」
だという。マクラーレンの最先端の素材を駆使し、最高の技術を追求するという考えにも通じ、それを完璧に表現している最良のコラボレーションだと感じる。