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リトラのフェラーリ「デイトナ」がなぜ1億2800万円!? 高額の理由はローマイレージに新車当時からの魅力的なオプションにありました

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

ホイールやラジオなど魅力的なオプション付き

フロスト博士が1994年にこのフェラーリを売りに出したとき、21年にわたるシングルオーナーによる几帳面な管理ののちでも、オドメーターはわずか188マイル(約302km)しか表示していなかった。フロスト博士はデイトナをケンタッキー州ルイビルのケヴィン・コリンズに売却し、彼はデイトナを5年間所有したあと、オドメーターに361マイル(約581km)が表示された状態で、ペンシルベニア州の高名なディーラーに売却した。

その後は2000年10月に、ニューヨークのさるエンスージアストが入手。この時点でオドメーターは475マイル(約764km)を表示していたが、2013年後半にコネチカット在住のコレクターの手に渡り、2018年1月に今回のオークション委託者である現オーナーに売却された。

この魅力的なデイトナには、「ボラーニ」社製ワイヤーホイール、ベッカー社製「メキシコ」ラジオ、エアコンなどの純正オプションが、新車として製作された当初から装備されている。

また、エンジンとトランスアクスルもマッチングナンバーのままであり、コレクターズアイテムとしてのポテンシャルを備えているのも間違いあるまい。

くわえて、これまで報告された走行距離の増加は、オークション公式カタログ作成時の走行距離4367マイル(約7000km)が実際の走行距離であることを示唆している。

「このエレガントなベルリネッタは、ドライビングを楽しむための理想的なメカニカル・リフレッシュが施されており、公道での使用や“プリザーヴド”クラスのコンクール・デレガンスへの出品も可能である。低走行距離、マッチングナンバーのデイトナがオリジナルのコスメティックとカラーリングで展示されれば、いかなるスポーツカー・コレクションも充実したものになるに違いない」

自社カタログ内でそんな謳い文句を記していたRMサザビーズ北米本社の目論見はみごとに当たったようで、競売が終わってみればエスティメート上限に近い85万7500ドル。現在のレートで日本円に換算すれば約1億2800万円という、同じデイトナでも「プレキシ」時代の車両に匹敵する高額で落札されるに至ったのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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