トミカ スカイラインを再現した傑作レプリカマシン
トミカのシルエットフォーミュラ、通称「トミカ スカイライン」はシルエットフォーミュラレース史上、最も記憶に残る伝説のマシンでしょう。日産「スカイライン」がシリーズに登場したのは、1982年の第3戦から。日産ターボ軍団の番長格として赤と黒のツートーンにTOMICAのロゴが入ったマシンは、富士スピードウェイをサイド排気で火柱を吹き上げながら走る姿が印象的でした。今回紹介するDR30型スカイラインベースのトミカ スカイラインは、成田レーシングの青木さんが手がけたフルレプリカマシンです。
鉄仮面をベースに独学でボディ製作
当時のことを知るオーナーならば、このトミカ シルエットフォーミュラがカーデザイナーの由良拓也氏が手がけたことを知っているはず。このスーパーシルエットの特徴的なエクステリアは「車体上部でなるべくダウンフォースを得る」という目的によって考案され、一見族車のように見える前方に大きく張り出したデッパやルーフより高い巨大なウイングなどは、確実な効果を発揮するパーツとして生まれたもの。つまり、このルックスは、機能を追求して生まれた戦うための武装というわけだ。
古くからオリジナルマシン製作にこだわることで有名なチーム、成田レーシングの青木さんは、その憧れのレースカーを公道仕様として再現するべく独学でFRPによるボディ製作知識を学び、トミカ仕様のシルエットフォーミュラを完成させてしまった。ベースは市販車なので、作り込みにおいては若干の違いはある。だが、このフォルムをパッと見て伝わるように、ポイントをきっちり抑えている。
青木さんのトミカ仕様のシルエットフォーミュラは、DR30型スカイラインRSの後期型がベース。このクルマは、我々にとって馴染み深い「鉄仮面」の愛称で親しまれたモデルだ。この後期型の特徴は、何といっても迫力があるグリルレスのマスクにある。シルエットフォーミュラシリーズにおいては、1983年の終盤に後期型のフロントマスクを持つ鉄仮面が登場。搭載するエンジンは2L 直4ターボエンジンのLZ20型で最高出力570psとも言われたモンスターマシンだった。
特注の車高調キットでローフォルムを実現
ワンオフ加工によって作り出したエクステリアは、当時の写真、ミニカー、プラモデルを参考に製作。寸法の割り出しも含めて、かなりリアルに再現されている。
エンジン本体はスタンダードだが、ターボ車ならではの重厚な排気サウンドを奏でられようにオリジナルのφ60mmサイド管を装着し、タコ足はトラスト製をセットしている。さすがにホンモノのような走りはできないが、そのルックスにおいてはダクトの配置、ステッカーの位置も含めて再現性が素晴らしい。
インテリアは、ストリート仕様らしく「ダットサン」のシートを真っ赤な合皮レザーに張り替え、ナルディのステアリング、自作ロールバーをセット。レースカーとしてカーペットを剥がしているが、公道走行用としてアンダーコートは残している。スタイルを決めるサスペンションについては、特注の車高調キットによって走れるシャコタンを実現した。
タイヤはフロントがBRE製の230/525R14、リアはシバタイヤ製の335/30R14をセットし、ホイールは特注のハヤシレーシングでフロント11J×14、リア13J×14インチを履かせていた。
まるで実寸大プラモデルを作るかのように、リアルに再現したトミカ仕様のシルエットフォーミュラ。昔からずっと憧れていた夢の1台を大人になってから実現し、まさに傑作レプリカマシンといえるだろう。
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