2周年を迎えた富士モータースポーツミュージアムに変化の波
2024年10月7日でオープンから2周年を迎えた「富士モータースポーツミュージアム」。モータースポーツの博物館としては世界初の試みとなる自動車メーカー10社以上の連携による常設展示が行われていて、国内外のさまざまなレーシングマシンを見ることができます。ミュージアムというのは静的な施設と思われがちですが、富士モータースポーツミュージアムでは2024年に入ってから大きな変化が起きています。その理由を探るとともに、これからの見どころを紹介します。
モータースポーツと自動車の歴史を楽しく学べる
富士モータースポーツミュージアムは静岡県・富士スピードウェイホテル内の1階と2階にあり、常時約40台のレーシングマシンが展示されている。世界中のさまざまな自動車メーカーのマシンが展示されているが、その展示レイアウトはモータースポーツの歴史を感じられるように工夫されている。
ミュージアムへのゲートを通過すると最初にフランスのパナール・エ・ルバッソール「タイプB2」が展示されている。このマシンは、1891年に世界で初めてFRレイアウトを誕生させたパナール社の1899年製モデルであり、同社は19世紀末から20世紀初頭のモータースポーツ黎明期において数多くの勝利を挙げた。以降、モータースポーツ、ひいては自動車の性能向上に大きく影響を与えたマシンが順に登場していく。このミュージアムをひと通り見れば、モータースポーツが自動車の進化に欠かせない役割を果たしていることが理解できる展示となっているのだ。
もちろん、日本のレーシングマシンも展示されている。日本のモータースポーツ黎明期である1960年前後から、世界を目指しル・マンやWRCに挑んだマシンたち、そしてF1マシンまで展示されているのだ。モータースポーツと自動車の進化が一体であったこと、そして各種規定が確立していくとともにモータースポーツが競技として成り立ち、さまざまな競技のトレンドが文化として形成されていくのを感じ取れることがミュージアムなのだ。
オリジナルグッズも進化中
また、2周年を無事に迎えたミュージアムとしての進化はグッズにも表れている。3階のショップ&カフェ「Fan Terrace」では、富士スピードウェイの本コースを一望しながら食事やお茶を楽しむことができるのだが、多彩なグッズも販売されている。
ここではミュージアムの象徴となる「トヨタ7」をはじめ、富士モータースポーツミュージアムオリジナルのミニカーを購入することができるようになった。
さらに展示されているマシンのカラーリングを思わせる組み合わせで編み込まれたレザーキーホルダーなどもあり、今後グッズのバリエーションは増やしていきたいとのことだ。
富士ゆかりのマシンの企画展を活発化させた人物とは?
そんな富士モータースポーツミュージアムでは、2024年に入ってから富士グランチャンピオンレースのGCマシンをはじめ、富士にゆかりのあるレーシングマシンたちの企画展示が活発になっている。そのキーパーソンが、このミュージアムでシニアエキスパートを務める小宮山泰央さんだ。
もともと、小宮山さんはトヨタのモータースポーツ部門で主にエンジン開発を行ってきており、3SエンジンからF1まで、さまざまなエンジンを手がけてきた。そんな小宮山さんは地元出身で、幼き頃からモータースポーツファン。富士スピードウェイにあるミュージアムという良さを生かし、これまで以上に「富士スピードウェイのモータースポーツの歴史」を広めたいと考えた。そんな彼の情熱が、GCマシンやマイナーツーリングなどの企画展の実施につながったのだ。