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新品タイヤでよく見かけるヒゲは切っても平気!? 正式名「スピュー」ができる理由とは?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: AMW/PIRELLI

  • スピューは切っても問題はないが、根本のギリギリからカットしてタイヤに傷を付けるほうが心配だ
  • 走っているうちにスピューは消えてしまう
  • カットする理由は単に見た目の話で、メリットもデメリットも皆無といってよい
  • スピューとはタイヤを製造する過程で作られる副産物
  • タイヤ製造時に「スピュー」ができる
  • タイヤにある無数の「ヒゲ」の正式名称は「スピュー」という

カットする理由はない……?

新品のタイヤにはメーカーを問わず、無数の「ヒゲ」が生えています。場所はトレッドやショルダーなどの表面で、長さはメーカーや銘柄に関係なく1cmほどです。正式な名称は吐出を意味する「スピュー」のようですが、はたしてどんな目的で設けられているのかご存知でしょうか。また多くの人は気にせず使い続けると思いますが、美観のために切断してしまっても問題がないのか解説をしていきます。

金型の密着性を高めるために「スピュー」ができる

まず「スピュー」がどのようにして作られるかを説明したい。タイヤはさまざまな原料を組み合わせて作り上げた「混合ゴム」と、インナーライナーやサイドウォールなど多くの部品で構成される。その状態を「生タイヤ」または「グリーンタイヤ」と呼び、金型に入れて高い熱と強い圧力をかけながら成形していく。

生タイヤと金型の密着性を高めるには間に入った空気を除去する必要があり、あらかじめ金型には空気を逃すための小さな穴がたくさん開いているのだ。この穴に空気と一緒に溶けたゴムが流れ込み、冷えて固まることでスピューが形成される。

ちなみに金型から取り出された段階の長さは3cmほどあり、出荷前に専用のカッターで短くカットされている。つまりスピューとはタイヤを製造する過程で作られる副産物で、グリップや耐摩耗性といった性能に影響を与えるモノではない。

トレッド面に生えたスピューでロードノイズが大きくなるくらいはあり得るかもしれないが、神経質な人じゃなければ気付かないレベルだし大半は「皮剥き」の間に削れてしまうはずだ。

よほど見た目が気になればニッパーなどで切っても問題ないが、根本のギリギリからカットしてタイヤに傷を付けるほうが心配だ。ショーに展示されている車両がスピューを切ったタイヤを履いているのを見て、何かしら性能面でのメリットがあるんだろうと思った人もいるかもしれない。

しかしカットする理由は単に見た目の話で、メリットもデメリットも皆無といってよく、空気圧などに気を遣うほうがよほど建設的だ。なおスピューはスタッドレスのような表面に細かい溝があるタイヤほど多いが、近年では金型が進化しスピューのできないタイヤも流通しているとのこと。スピューが「懐かしのクルマ用語」になる日はそう遠くないかもしれない⁉︎

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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