買い物からイベントまで32年にわたりジュリア スーパー1.3を愛用
クラシックカー趣味の楽しみ方は千差万別で、理想のイメージにカスタムする人もいれば、オリジナルの姿を追求してピカピカにキープする人もいます。ここで紹介する並木さんのアルファ ロメオ「ジュリア スーパー1.3」はボディのあちこちに錆が浮いてきてカサカサながらも、機関は好調! 32年にわたる相棒として、ヤレも年輪と捉えて愛用し続けています。
イベントで「育ってるね!」と言われるのは、もはや快感!?
2024年3月に埼玉県秩父郡皆野町で行なわれた「ミナノはミラノ 勝手にイタリア祭」には多彩なタイプのアルファ ロメオが並んだなか、1台を囲んで何やら楽しげな人だかりができていた。覗いてみるとアルファ ロメオ「ジュリア スーパー1.3」のフェンダーに浮いた錆を仲間が指差し「順調に育ってるね〜」と冷やかされながらも、
「このカサカサもコミュニケーションツールなんです。面白がってくれたら、しめたものです」
と嬉しそうな笑顔で応えていたのが、手に入れてから今年で32年目というオーナーの並木丈治さんだ。あるとき本国に製造年度を確認したところ、1974年4月19日の製造だということが分かったとのこと。このジュリア スーパーは生まれてから、じつに半生以上を並木さんと共にしているのだ。
普段は自宅駐車場に保管しているジュリア スーパーであるが、風の強い日には右側部分だけ雨が当たってしまうのが原因で、フェンダーの上部だけ錆びてしまっているが、いつしかその錆は愛車のトレードマークとなった。
なんでも数年前の車検時に「これ以上傷むと検査通らなくなりますよ」と検査官に言われたこともあるそうだが、以降数回更新している車検時では言われなくなったので、「その必要があるならその時に考えることにした」そうだ。
それよりも久しぶりに会う仲間たちのネタになってくれた方が面白いとマイペースである。
アルファの入門編として買ったジュリアにそのまま32年
そんな並木さんとアルファ ロメオの出会いは、10代半ばの頃にさかのぼるという。スーパーカーブームもあり、クルマには興味があったという少年時代であるが、中学生の頃、自宅近くにアルファ ロメオ専門店「ガレージ33」ができたのが決定打となる。
プラモデルではアルファ ロメオエンジンのブラバム「BT46」やアルファ ロメオ「ティーポ33/TT12」は作った経験があるもの、市販車は全く知らなかった並木少年。ガレージ33に入庫するさまざまなスタイルのアルファ ロメオ、そしてそのショップに出入りするオーナーたちのカッコ良さに憧れを持つ。いつかはジュリアに乗りたいと思うようになったというのも、ごく当たり前のことだろう。
そんな並木さんが、大人になり免許を取得して「このアルファに乗りたい」とガレージ33に相談したのは、ジュリアではなく「スッド スプリント」だった。たくさん見てきたラインナップのなかで、この時期はとくにスッドに魅力を感じていた。
ガレージ33創業者であり当時の代表だった渡辺さんの反応は「初めてのアルファ ロメオとして、スッドは欠品のパーツもあって最初は手強いかもしれないよ」と、トラブルの少ないジュリア系にまず乗ってみてはということで、ジュリア スーパーを勧めた。
「やっぱりそうですよね!」
じつは並木さん、ガレージ33にはジュリアTIスーパーのお客さんがいて、少し前に見たその走りに「よく見るとジュリアってかっこいい!」と気になる存在だったのだ。
そうしてこの1974年式ジュリア スーパー1.3を買ったその年には、約1週間かけての東北旅行を敢行。最初の10年はサーキット走行も積極的に楽しんでいた。今年20回目を迎えたイベント、イタリアンジョブには往復900kmの道のりにもかかわらず13回参加するなど、並木さんと32年間過ごしたジュリアスーパー。もはや、なくてはならない存在なのである。
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