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バブル時代の象徴フェラーリ「テスタロッサ」は「赤」以外が高額に! ブルーの個体は4000万円以上で落札…クラシケ認定も高評価

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

やっぱり純正希少カラーのフェラーリは高評価がトレンド?

この夏「Monterey 2024」オークションに出品された1990年式フェラーリ テスタロッサは前後フェンダーのサイドマーカーやエンジンフードのハイマウントストップランプなどからも判別できるように、典型的なUS仕様。そして、RMサザビーズの公式カタログ内では「驚くほど魅力的」と謳われていた。

新車として製作された当初から、現在と同じ「ブル・キアーロ(Blu Chiaro:明るめの紺色)」のボディカラーに、「クレマ(Crema:クリーム色)」のコノリー社製レザーインテリアの組み合わせでピニンファリーナおよびマラネッロのフェラーリ本社工場で仕上げられ、1990年6月に、北米カリフォルニア州の「ハリウッド・スポーツ・カーズ」社にデリバリーされたことがわかっている。

オークション出品に際して添付されたデジタル「フェラーリ・クラシケ」証明書と、その「レッドブック」は、オリジナルのファクトリーカラーであることを証明するものであり、さらに重要なことは、リアハッチの下にナンバーズマッチのエンジンが確認できることである。ただし、ギアボックス(No.5185)は純正タイプのユニットではあるものの、新車時以来のオリジナルではないことも記録されている。

いっぽう、2018年までさかのぼることのできる一連のサービス請求書は、ルックスと同様に安全な走行を保証するために費やされたケアを示している。最近では、2024年6月にテキサス州のフェラーリ正規代理店「フェラーリ・サン・アントニオ」に委託され、2万ドル強の費用を投じて、エンジンを降ろしてのメンテナンスサービスを受けたという。

オークションカタログには特記されていないものの、エンジンを降ろしたついでにBB/テスタロッサ系では重要項目となる、エンジンのコッグドベルト交換も同時に行われたとみるのが自然だろう。

強気な推定落札価格に見えたが……

ちなみに、同じ公式カタログ作成時点でオドメーターが示している走行距離は1万2000マイル(約1万9200km)未満とのこと。落札者には純正のツールロールとオーナーズマニュアルも引き渡されるとのことであった。

「フェラーリ テスタロッサは、そのスタイリングキューが発売後の数年間にわたって業界全体で模倣された、正真正銘の時代のアイコンである。息をのむような外装色、走行距離の少なさ、そしてフェラーリ・クラシケの認定により、今回の出品車両はこのステータスの恩恵を受けるにふさわしいものである」

そんなPRの一文を添えて、RMサザビーズ北米本社は19万ドル~25万ドル(邦貨換算約2812万円〜約3700万円)という、ここ数年で一時の上昇傾向を取り戻したテスタロッサのマーケット相場を鑑みてもけっこう強気なエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

しかし、それを強気とした筆者の単純な読みは外れていたようだ。オークションの当日、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、設定されたエスティメート上限を大きく上回る26万8800ドルで、競売人の掌中のハンマーが鳴らされることになったのだ。

これは、現在のレートで日本円に換算すれば約4030万円。為替相場では依然として円安傾向が続いていることを考慮に入れてもかなり高めの落札価格となった理由には、今や高値の必須条件である「フェラーリ・クラシケ」承認がなされていることにくわえて、希少ボディ/インテリアカラーがオリジナルのまま維持されていることも大きいかと思われるのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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