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5000万円まであと少し…メルセデス・ベンツ「190E エボII」はライバルのBMW「M3スポエボ」をはるかに凌駕する高値をキープ

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

あともうひと息で5000万円!

「Monterey 2024」オークションに出品されたメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションⅡは、スイスに向けて輸出され、1990年7月にマッジョーレ湖近くのゴルドラのディーラーに新車として納車。そののち、1991年4月1日にファーストオーナーに引き渡され、ルガーノで登録された。

その後10年間、オリジナル・オーナーの年間走行距離は4000kmにも満たなかったというが、2002年にはオランダのプライベート・コレクションに加わり、その後16年間はそこに留まったとされている。

2016年6月、このエボIIはシュトゥットガルト北部のプレイデルスハイムを拠点とし、クラシック・メルセデスのスペシャリストとしては全世界に知られる「メカトロニック(Mechatronik)」社によって購入され、車両全体に及ぶメカニカルパートの見直しや、OEM部品を使用した包括的な整備を受けたうえで、新たにテュフ認証が与えられた。

そして2018年11月、このエボリューションIIはアメリカのメルセデス・ベンツ・ディーラーが所有する戦後メルセデス・ベンツの卓越したコレクションに加わることになった。

強気な推定落札価格に驚愕したが……

現在でも展示されているこのクルマは、カタログ掲載時の走行距離が3万9350kmであり、全体を通して素晴らしい保存状態を保っていると主張されていた。

メルセデス・ベンツが誇るW201世代セダンの究極の発展形である190E 2.5-16 エボリューションIIは、レーストラックにおける目覚しい成功に驚異的なルックス、そしてダイレクトなドライビングダイナミクスにより、今もなお愛好家の垂涎の的となっているのはご存知のとおりである。

とくに昨今では、クラシックカー市場においてもライバルとなってきたBMW M3「スポーツ エボリューション」を大きく凌駕する相場価格を形成していることに注目されているファンも、決して少なくないものと思われる。

そんな市況のもとRMサザビーズ北米本社は現オーナーとの協議を経て、32万5000ドル~37万5000ドル(邦貨換算約4875万円〜5625万円)という、近年のエボIIのマーケット相場を鑑みてもけっこう強気なエスティメート(推定落札価格)を設定していた。

そして、モントレー市内の大型コンベンションセンターで挙行された競売では、エスティメートの想定内に収まる32万9500ドルで、無事落札されるに至った。

出品者サイドからしてみれば、よりエスティメート上限に近いハンマープライスが期待されたかもしれないが、それでも現在のレートで日本円に換算すれば約4940万円というのは、なかなかの金額だったかに思われたのである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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