軽規格の本格的スペシャリティカー、カプチーノ
スズキ「カプチーノ」といえば、軽自動車ながらFRレイアウトにターボエンジンを組み合わせたライトウェイトスポーツカーとして今なお根強い人気を誇る名車です。クラシックカーイベント「塩田津に【勝手に】旧Car」でお会いした入江さんは、自宅の駐車スペースの問題とロングノーズが欲しい、という理由からカプチーノを選択。そして、これからも長く乗り続けるためにセミレストアを実施するタイミングで、フロントまわりのヨタハチ化=「ヨタチーノ」仕様へと変身させました。
乗りたいクルマが無いという理由で選んだ原チャリ生活からカプチーノがある人生に
スズキ「カプチーノ」は、1991年11月に発売されたロングノーズ、ショートデッキデザインのスポーツタイプの軽自動車である。フロントエンジン、リア駆動のFRレイアウト。エンジンは直列3気筒12バルブDOHCのインタークーラーターボで、軽自動車の自主規制値である64psを発生。軽自動車では初搭載となる4輪ダブルウィッシュボーン採用など、軽の枠を超えたスペシャリティカーとして、1998年1月までの7年間、生産販売された。
入江さんがカプチーノに乗りはじめたのは、今から11年以上前のハタチを過ぎた頃。18歳で自動車免許を取得したものの、マイカーを所有せずに原チャリ生活をしていた頃に、偶然出会った1台だった。
「自宅の駐車スペースの問題で軽自動車しか停められないのですが、僕はフロントが短いデザインのクルマが好みではなく……。ロングノーズの車両に乗りたいとは思っていたのですが、車体価格がそれなりに高額なため現実的ではなかったので。結果的に、免許取得後2年ほどは原チャリに乗っていたのです」
片道15kmほどの通勤も、日常の移動も全て原チャリで。悪天候でもカッパを着て通勤をする入江さんの姿を見て、ご家族からも「そろそろクルマを購入したら?」という提案もあったそうだ。しかし前述した理由もあり、クルマの所有を諦めているとたまたま親戚に話したところ、その方がカプチーノを所有しているというミラクルが発生。
「僕が当時愛用していたのは、ホンダ マグナ50というバイクでした。それをしっかりとメンテナンスしながら乗っていることを親戚の方が気に入ってくれて。愛車を大切にする気持ちがあるということを信頼してくれて、とてもありがたい値段で譲ってくれたのです」
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長期的に乗り続けるためにセミレストア! その流れで「ヨタチーノ」に
入江さんのカプチーノは1996年式だ。入手した時点ですでに15年ほどが経過しており、さらに日常生活でフル稼働しているため、車体は要修理箇所が増加。エンジンを乗せ換え、足まわりもリフレッシュ。そして、ボディ下まわりのサビも酷くなってきたこともあり、鈑金修理を決意。このタイミングで社外エアロなどの装着を検討したところ、巷で噂のタッドプロジェクト製ヨタハチボディキットの存在を知ったのだった。
「カプチーノを乗り換える気持ちは一切ありませんでした。だから、先々のことを考えて、そろそろ外装も手直しした方がいいと判断したのです。鈑金、塗装をするため、せっかくだからリメイクしよう思っていたところ、このヨタチーノ仕様の存在を知りました」
製作を担当したのは、福岡県糸島市のカプチーノをはじめ、マツダ「AZ-1」、ホンダ「ビート」を専門とするレストアショップ、トイ・ガレージ ピューパ。3カ月ほど入庫して念願のヨタチーノ仕様が完成した。
「FRP製品なので、プロショップに依頼して正解でした。エンジンはファイターエンジニアリング製のリビルド。サスペンションは、スプリングは純正のままでエナペタルにしています。マフラーはフジツボ製レガリスKなど、各部もアップグレードしてあり、満足のヨタチーノに仕上がっています」
ちなみに、18歳から愛用していた原チャリ、マグナ50は今も健在とのこと。1台の車両を、いつまでも長く愛する。それにこだわっているのではなく、そうすることが入江さんにとっては、当たり前の感覚なのだろう。
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