2ストは白煙が出るのが普通です
クルマのエンジンには、4ストロークと2ストロークという異なる種類が存在します。現在は4ストロークが一般的で、2ストロークエンジンは一部のバイクに採用されているのみ。排気ガス規制の問題などで、1980年代前半にはすでにクルマでの採用例がほぼ無くなり絶滅危惧種だった2ストロークエンジンを搭載したスズキ初代「ジムニー」と、そのオーナー“NICKEY”さんを紹介します。
キャンプを楽しむためのパートナー
パランパランという排気音を轟かせてスズキ「ジムニー」が、クラシックカーイベント「塩田津で【勝手に】旧Car」の会場にやって来た。走り去った後の排気ガスの匂いも特徴的で、2ストロークエンジンを搭載していることは明らか。しかも、参加車の中で唯一のオフロード車が来場したという理由もあり、一目散にその「ジムニー」の後を追いかけたのだった。
免許を取得してすぐはトヨタ5代目GX71型「マークII」や日産3代目C10型「スカイライン」などの旧車系を楽しんでいたというオーナーの“NICKEY”さん。15年ほど前からキャンプを楽しむようになり、その流れで4WDのいわゆるクロスカントリー車を所有するようになったそう。
「真冬でもキャンプに行くので、4WDが欲しかったんです。ジムニーは可愛いし、もともとが旧車好きだったので、自分の生まれ年と同じ年式の車両が欲しくなりまして。4~5年ほど探した結果、静岡の方で売りに出されていたこのジムニーを見つけました」
年式は1980年式。念願の同い年の車両だったこともあり、悩むことなく購入を決意。そして、この初代SJ11型ジムニーとの生活がはじまったのだった。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
白い煙と独特の排気音が2ストロークの証
「2ストロークの音が最高なんですよ! オイルが混じった排気ガスの匂いも好きです(笑)」
じつは“NICKEY”さんは、3代目ジムニーのJB23型なども所有しており、それぞれの部品取り車も含めると複数台所有しているほどジムニーに夢中。その中でもこの初代の魅力はやはり2ストロークエンジンだそうで、若かりし頃にホンダ「NSR50」や「NSR250R」といった、いわゆる2ストロークのレーサーレプリカスタイルのバイクを楽しんできた経験もあったので、その感覚をクルマでも味わえることに大満足なのだそうだ。
「同じ2ストロークでも、僕が楽しんできたバイクとこのジムニーは、フィーリングが違いますね。バイクは、パワーバンドに入ると爆発的な加速感があってそれが快感だったのですが、ジムニーは急激なパワーバンドには入らないイメージです。でも、スムーズに高回転までエンジンが回る感覚ですね。でも、僕のジムニーはエキマニとチャンバーを交換し、トランスミッションもノーマルの4速から5速に変更しているため、高回転まで気持ちよく楽しく走れるんです」
この車両はいくつかの仕様変更がされており、そのひとつが5速トランスミッションへの乗せ換えなのだ。純正品はもちろんそんな社外品は存在しないため、SJ30用のケースにJA71の5速を組み合わせた。しかし、そのまま簡単に装着できるわけはなく、エンジンマウントのブッシュ類をワンオフしたり、ブラケットをフレームに溶接するなどして搭載。その結果、クイックシフトのようなトランスミッションのフィーリングや、それにシンクロするエンジンレスポンスが楽しめるようになったそうだ。
「ジムニーのイベントに参加しても新型のJB64型が多いので、僕の愛車が2ストだと、誰にも気づいてもらえないんです。幌車ならば多少は興味を持ってくれそうだけど、僕のはバンタイプだから余計に目立たないし。でも、可愛いからいいんです(笑)」
その昔、2ストロークエンジンがクルマに搭載されていたことなんて知っているのは、一部の上の世代かマニアな人たちだけ。白い煙を吐いていても壊れているわけではないし、特徴的な排気音も魅力のひとつ。“NICKEY”さんは、そんな初代ジムニーに心底惚れこんでいるのだ。
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