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8億5500万円! 高値安定のフェラーリ「250GT スパイダー カリフォルニア」は、かつて日本のコレクターが所有していた個体でした

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 2024 Courtesy of RM Sotheby's

映画に出演した後、名レーサー、ジョー・シフェールの所有歴も

この夏「Monterey 2024」オークションに出品されたフェラーリ250GT スパイダー カリフォルニアは、1959年式のロングホイールベース版で、シャシーナンバーは「1217GT」。マッチングナンバーのV型12気筒エンジンを搭載し、オリジナルのカラーコンビネーションが維持された1台である。

フェラーリの大家として全世界に知られるヒストリアン、マルセル・マッシーニ氏の調査によると、シャシーナンバー1217GTは、50台が製造されたロングホイールベースのうちの19台目とのことである。1959年2月に完成し、「ネロ(黒)」のボディに「ロッソ(赤)」のレザー内装が組み合わされ、ヘッドライトはカバーのない露出したスタイルとされた。

当時は純正ハードトップを装着していたこのフェラーリは、イタリア・ジェノヴァの造船会社「オフィチーネ・ナヴァーリ・カンパネッラ」社に新車として販売されている。

それから7年後、このスパイダー・カリフォルニアは1967年のイタリア映画『Le Dolci Signore』(1年後に『Anyone Can Play』として国際公開)の撮影に使用され、セクシーなフランス人女優で当時のボンドガールでもあったクローディーヌ・オージェが運転するさまが劇中で披露されている。

そして1960年代末になると、有名なスイス人レーシングドライバーにして、この時期から自身のガレージとカーディーラーも設立していた、「セッピ」ことジョー・シフェールの所有となる。

1972年1月、シャシーナンバー1217GTは「ガレージ・シフェール」から有名なスイス人ディーラーであり、モータースポーツ作家でもあるロブ・ドゥ・ラ・リーブ・ボックスに売却されたのち、数カ月後には「フェラーリ・クラブ・オブ・アメリカ」の創設者のひとりであるリチャード・メリットが次のオーナーとして名乗りを上げた。

さまざまな来暦が残る250GT スパイダー カリフォルニア

シャシーナンバー1217GTは、1975年末にワシントン州シアトルのジョージ・ハイザーに譲渡される。1979年、彼はエンジン番号1217GTを搭載した「250GT ボアーノ」を手に入れ、1217GTエンジンは、もともとのパートナーであるスパイダー カリフォルニアに戻された。

ハイザー氏はそののち約12年間、フェラーリを熱心にメンテナンスしつつ保有していたものの、彼が入手した1975年の段階では1万ドル程度だった価格が、1987年には50万ドル以上にまで高騰するのを目の当たりにしたことから、ついに売却を決意した。

その後の6年間は、250GTはスウェーデンの有名なコレクションを保有し、「250GTO」やほかの250GTスパイダー カリフォルニア数台と並べられることになる。

1993年になると、この1217GTはカリフォルニア州パロアルト在住の著名なクラシックカーコレクター、ジョン・モーツァルトが手に入れ、同州のフェラーリ・スペシャリスト「フィル・ライリー&カンパニー」に大規模なレストアを依頼。この時には新車時以来のオリジナルのカラースキームで内外装がリフレッシュされたほか、機械的性能を向上させるためにディスクブレーキも取りつけられた。

1994年、1217GTはカリフォルニア州モントレー在住のフレッド&ラモーナ・ボーランダー夫妻に譲渡される。そしてボーランダー夫妻は、同年8月にモントレーで開催された「FCAインターナショナル・コンクール」にて、この美しいスパイダー・カリフォルニアを披露した。

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