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ヤマハが見た夢「OX99-11」とは? F1エンジンをデチューンしてロードカーに搭載…ロンドンでの初公開ではジョン・ワトソンがドライブ【クルマ昔噺】

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TEXT: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)  PHOTO: 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)

独自に車両を開発しロンドンで初公開!

これ以降、ヤマハはトヨタとともにエンジン開発に専念し、最終的にはブラバム「BT60Y」に搭載された3.5LのF1エンジン開発まで突き進む(これはトヨタとは無関係)。そしてこの3.5L V12、「OX99」エンジンはF1では成功しなかったものの、そのF1でマシンがまだエントリーしていた1992年に、ロードゴーイングカーにこのエンジンを搭載して特異なスポーツカーが作られた。それが「OX99-11」である。

このクルマは1992年にロンドンで初公開されたものだが、そのエンジンベイに搭載されていたのがOX99であった。もちろんロードゴーイング用としてデチューンされていたのは言うまでもない。 F1参戦と同時期に開発されていた関係から、ヤマハは本気でこのクルマを市販するつもりだったのだろうが、やはり時代が悪すぎた。価格は当時でも1億円を超え、バブルが消滅した時代背景からは恐らく考えられないくらい高価なものだったように思う。だから結局はこのクルマも完成はしたものの、日の目は見ず終いである。

ボディのデザインは由良拓也

発表会でこのクルマをドライブしたのはジョン・ワトソン。長くブラバムで活躍したドライバーだったからの登用ではないかと思われた。ちなみにヤマハエンジン搭載のF1ブラバムをドライブしたのは、マーチン・ブランドルとマーク・ブランデルの2人である。

OX99-11と名付けられたこのクルマはそのベアシャシーからもわかるように、ほとんどF1にルーフの付いたコックピットを与えたような作り。ボディのデザインは由良拓也氏。発表会の場にも彼の姿があった。車体の中央にドライバーズシートがあり、そのいで立ちはまさにF1そのもの。しかし、ドライバーの左サイドやや後方にはもうひとつのシートがあり、一応タンデムの2人乗りとされている。

実際に発表会の場では女性がその席に収まってみたものの、やはり窮屈そうなのは見てもわかった。 結局3台が作られただけでプロジェクトはキャンセルされた。2016年には袋井のテストコースを走行したOX99-11の姿がネットに掲載されていて、現在もおそらく3台すべてが動体保存されているはずである。

ケータハムのモデルはEVである。残念ながらICEでスポーツカーを作ることは叶わなかったが、ケータハムとのプロジェクトは成功させてほしいものである。

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  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 中村孝仁(NAKAMURA Takahito)
  • 幼いころからクルマに興味を持ち、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾る。 大学在学中からレースに携わり、ノバエンジニアリングの見習いメカニックとして働き、現在はレジェンドドライバーとなった桑島正美選手を担当。同時にスーパーカーブーム前夜の並行輸入業者でフェラーリ、ランボルギーニなどのスーパーカーに触れる。新車のディーノ246GTやフェラーリ365GTC4、あるいはマセラティ・ギブリなどの試乗体験は大きな財産。その後渡独。ジャーナリスト活動はドイツ在留時代の1977年に、フランクフルトモーターショーの取材をしたのが始まり。1978年帰国。当初よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動し、すでに45年の活動歴を持つ。著書に三栄書房、カースタイリング編集室刊「世界の自動車博物館」シリーズがある。 現在AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)及び自動車技術会のメンバーとして、雑誌、ネットメディアなどで執筆する傍ら、東京モーターショーガイドツアーなどで、一般向けの講習活動に従事する。このほか、テレビ東京の番組「開運なんでも鑑定団」で自動車関連出品の鑑定士としても活躍中である。また、ジャーナリスト活動の経験を活かし、安全運転マナーの向上を促進するため、株式会社ショーファーデプトを設立。主として事業者や特にマナーを重視する運転者に対する講習も行っている。
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