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トヨタ「セリカXX」の納屋物件を10カ月かけて路上復帰…20歳の頃に憧れたスペシャルティカーを再生した情熱に拍手!

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TEXT: 酒寄俊幸(SAKAYORI Toshiyuki/gasgraphix)  PHOTO: 酒寄俊幸(ガスグラフィックス)

  • 1978年式のトヨタ 初代 セリカXXとオーナーの馬場博文さん
  • トヨタ 初代 セリカXX:2代目A40型セリカのリフトバックがベース。直列6気筒のエンジンを積むためボンネットも長い
  • トヨタ 初代 セリカXX:リアガラス部分が開閉するリフトバック。一般的なハッチバックと比較すると、車体剛性も高い
  • トヨタ 初代 セリカXX:クーペではなくリフトバックデザインを採用したことが、スペシャルティカーとしての存在感を高めた
  • トヨタ 初代 セリカXX:さりげなくあしらわれたピンクのピンストライプ
  • トヨタ 初代 セリカXX:倉庫保管だったため、マッドガードやその他の樹脂製パーツなども劣化が少ない
  • トヨタ 初代 セリカXX:「フジツボが付いたような跡」だったとは想像できない、完璧に復活された純正ホイール
  • トヨタ 初代 セリカXX:誇らしげに輝く「XX」の文字。スペシャルティカーとしての立ち位置だったこの初代に対し、2代目は一転してスポーツカー路線に変更された
  • トヨタ 初代 セリカXX:走行距離は7万km超え。メーターまわりも劣化が少なく美しい状態が保たれている
  • トヨタ 初代 セリカXX:ネズミの棲み処になっていたとは想像できないほど、美しく復活された内装
  • トヨタ 初代 セリカXX:バーガンディと呼ばれた独特の赤いラグジュアリーなシートが採用されていた。この雰囲気が、後々の「ソアラ」や「マークII」(5代目・70型)などのハイソカーに継承されている
  • トヨタ 初代 セリカXX:エンジンは排気量2000ccの直列6気筒を搭載している。グレードはGとなる
  • トヨタ 初代 セリカXX:ハンドルやダッシュボードなども、劣化は最小限でコンディション良好
  • トヨタ 初代 セリカXX:角型4灯とトヨタの「T」をあしらった専用デザインのグリル。そして、カラードバンパーがセリカXXの特徴

ハイソカーブームの大元はセリカXXにあり

トヨタの元祖スペシャルティカーとして、1970年に登場したのが「セリカ」です。初代はフルモデルチェンジを迎えるまでの約7年間で約41万台も生産されたほど大ヒット。その後、1977年に2代目へとフルモデルチェンジされ、そこから派生する形で1978年に「セリカXX」が登場します。その後に登場した「ソアラ」の源流だったはずなのに、あまりヒットしなかった不遇の初代セリカXX。「セリカ」シリーズとしても決して人気とはいえなかった、貴重な現存車を紹介します。

廃業したカーショップの倉庫で眠っていた希少車

オーナーの馬場博文さんはもともと、7年ほど前に手に入れた1967年式のトヨタ「コロナ」を所有していたそうだが、約2年前に、今回紹介するトヨタ初代「セリカXX」の話が舞い込んできたのだった。

「知人から、潰れたクルマ屋の倉庫に車両が残っているという連絡をもらったんです。でも、ライトがチラリと見える程度で、荷物が置かれたりしていて車種が判別できませんでした。いざその車両を確認しに行ったら、セリカXXだと分かったのです。私が20歳の頃に発売された車種で、当時はすごく憧れたけど、高すぎて購入できない車両でした」

このままだとスクラップになってしまう。そんな危機感と当時抱いた憧れの念が重なり、馬場さんはコロナと合わせてこのセリカXXを所有することを決めたのだった。しかし、長年放置されていたこともあり、車両のコンディションはボロボロの状態。それでも復活させ、この状態にまで修復したのだった。

内装はネズミが生息していた形跡が…

「ボディは錆あり、凹みありの状態でした。内装は破れやほつれなどは見当たらなかったのですが、ネズミが住んでいたような雰囲気ですごく汚かったのです。でも、それをなんとか復活させようと、できることは自分でやりつつも、プロにも修理を依頼して10カ月ほどかけて治しました」

外装に関しては、傷があった箇所を部分的に補修。しかし、外装色などは変更することなく当時のままを残した。内装は自分で外して、シートなどは高圧洗浄機を使って清掃。ボロボロだったトリムは採寸して復活。アルミホイールは、馬場さんいわく「海にいるフジツボが付いたようなボコボコな状態」だったものを、プロに頼んで研磨。その結果、ご覧の通りの美しさでセリカXXは復活を遂げたのだった。

「私は基本的に純正オリジナルにこだわりたいタイプなのです。だから、ホイールやシートなどもできるだけ改造をしたくない。そのため純正品を再生させるためのお金がかかってしまったけど、オリジナルのままで残せたので大満足です」

見た目だけではなく、エンジンが始動できる状態になるまでが大変だったと話してくれた馬場さん。錆だらけの燃料タンク内部は、切って中を洗浄して再生。オーバーヒートなども続いたため、ひとつひとつ原因を探っては修理を繰り返したことで、現在のコンディションまで復活させることができたのだ。

「修理してくれた業者さんが大変だったと思います。でも、この初代は滅多に見かけない希少車ですから、ずっと大切にしたいですね」

若かりし頃に憧れた車両を持つ喜び。今まで経験してきた苦労は、その喜びによって打ち消され、全てが良い思い出へとアップデートされているはずだ。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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