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「安い車トップ5」に日本車が2台もランクイン! 物価高で廉価車に注目集まるドイツ…他のアジア車よりも安くて大丈夫?【みどり独乙通信】

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TEXT: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)  PHOTO: 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)/RENAULT

  • 充電中のZOE
  • ルノーZOE:充電口にはZOEのマーク
  • ルノーZOE:オシャレなデザインと生地のシート
  • ルノーZOE:機能的でシンプルなインパネ
  • ルノーZOE:コンパクトEVという人気が出そうなパッケージだが……
  • 一時期はZOEが街にあふれていたという
  • ルノーZOE:個性的なフロントマスクを採用
  • 市街地で充電中のZOE

欧州でも手軽な人気コンパクトカーは姿を消しつつある

ドイツを起点に取材活動を続ける池ノ内みどりさん。クルマでの移動がメインですが、日本同様の物価高などにより、簡単にはクルマが買えない状況とのこと。そんななか、ドイツの安いクルマTOP5が発表され、そこには意外なクルマもランクインしていました。ランキングの紹介や、救世主となりそうだった廉価EVの現在なども解説します。

ドイツの安いクルマランキングが公開された

日本と同じく、ドイツでも物価の急上昇に加えてインフレに苦しむ不景気。毎日のように自動車関連企業の倒産ニュースが目に入り、心を痛めています。少し前にフォルクスワーゲンの工場閉鎖のニュースが日本でも話題になりましたが、ドイツではフォルクスワーゲンに限らず、BBSやRECAROをはじめ、多くのサプライヤーも厳しい状況が続いています。

コロナ禍やウクライナの戦争を受けて、中古車価格の高騰はもちろんのこと、新車の値段もビックリするくらいに値上がりしています。とくに長引く酷い円安状態ですから、為替を考えるととんでもない価格です。ドイツは近隣諸国よりは付加価値税がやや少ないとはいえ19%。日本のほぼ倍ですし、生活費は東京を大きく上まわる物価です。

そんな中、ヨーロッパではフォード「Ka」や「フィエスタ」、シトロエン「C1」、プジョー「108」、スマート「Fortwo」、シュコダ「シティゴ」、ルノー「トゥインゴ」、セアト「ミー」、VW「up!」をはじめとした数多くの超コンパクトカーの生産が終了しています。街乗りにぴったりなのですが、メーカーとしては非常に薄利で利益は非常に少ないのです。

そのうえ、2026年からのEUの新排ガス基準に適合させるための開発費用や、ユーロNCAPの検査費用などを考慮すると、採算がまったく合わないのだそうです。私は以前にシトロエンC1やプジョー108が気になっていて、街乗りに欲しいなとディーラーまで見に行った覚えがあります。たしか、その当時で新車でも1万1000ユーロちょっとだった記憶です。

物価高で新車の価格もどんどん上がっていますが、ADAC (ドイツ自動車連盟)は、ドイツで販売されている安い自動車トップ5を発表しました。

第1位:ダチア サンデロ SCe 65 Essential 1万1300ユーロ~
第2位:三菱 スペーススター 1.2 Basis 1万3190ユーロ~
第3位:シトロエン C3 PureTech 83 You! 1万4940ユーロ~
第4位:フィアット パンダ 1.0 GSE Hybrid 1万4990ユーロ~
第5位:マツダ マツダ2 スカイアクティブG 75 Prime-Line 1万5590ユーロ~

このなかにわれら日本車2台がエントリーしているのが、なんだか気になります。もはや日本車はほかのアジア車よりも安いのでしょうか? 今後は小型のEVカーも増えていくと言われていますが、さすがにこのトップ5の価格帯では難しそうですね。私の住む街ミュンヘンでは、コンパクトなEVは「ミニ」やフィアット「500e」が目につくようになった気がします。

購入しやすいEVの評価が5つ星からゼロに!?

10年ほど前、ルノー「ZOE(ゾエ)」が一気にカーシェアリングなどで増えたときがありましたが、いまはほとんどその姿を見ることはなくなりました。ルノーはヨーロッパのメーカーのなかでは比較的早くコンパクトEVに目をつけて、2012年に販売を開始。その後改良を重ね、2020年に最終的なアップデートが実施されましたが、もう在庫車でしか新車は手に入らないそうです。

ZOEのフロントマスク

航続可能距離は最大390kmというのがセールスポイントらしいのですが、それよりも気になるのはクラッシュテストの結果が0点だったというとことです。クラッシュテストで2013年度の基準では5つ星を獲得していたのですが、2021年からはユーロNCAPの安全装備等のテスト基準が厳格化されたにもかかわらず、安全面の改良や強化が行われず、残念ながら厳しくなった基準に合致せず、星の数はゼロとなったそうです。

「EV化まっしぐら」と言われて激震が走った数年前、自動車業界で働く人々にも動揺が走ったことはいうまでもありませんが、その際にこのルノーZOEに関する話題も上がったことを思い出しました。「さすがにユーロNCAPの安全性が証明されてないクルマに乗るのはちょっとねぇ」という意見が多かったですね。そもそも星がゼロでも販売しても良いというところに驚きました。

価格を調べてみたところ、2012年の発売当時、ZOEの廉価モデルは19%の税込みで2万600ユーロ(当時のレートで約200万円)からとかなりお安めなEVだったのですが、いまや3万6840ユーロ(現在のレートで約610万円)からという、なかなかの強気の車両本体価格です。2016年にはザクセン州の警察車両としても納車されたようですが、はたしていまもこれらは活躍しているのでしょうか。

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  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • 池ノ内みどり(IKENOUCHI Midori)
  • ドイツ ミュンヘン市在住 フリーライター&コーディネーター。東京で学生生活を謳歌した後にオーストリアのザルツブルグで再び学生生活を謳歌し、なんとか卒業。三度目の学生生活を謳歌しにミュンヘン大学入学を機にドイツへ。ミュンヘン大学在学中の現地広告代理店でのアルバイトがきっかけで、モータースポーツに魅せられて大学を中退し、モータースポーツ業界へ飛び込む。愛車のBMW M240iカブリオレを駆り、ヨーロッパ各国のサーキットへ取材に向かう。趣味はアルプスの峠越えドライブと蚤の市めぐり。好きなサーキットはニュルブルクリンクとスパ・フランコルシャン。ヨーロッパ生活はもう少しで30年。
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