クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • SPORT
  • スズキ「アルト」を徹底的に軽量化!「eスポーツ」からリアルの軽自動車レースに参戦したオーナーがこだわるマシンづくりの秘訣とは
SPORT
share:

スズキ「アルト」を徹底的に軽量化!「eスポーツ」からリアルの軽自動車レースに参戦したオーナーがこだわるマシンづくりの秘訣とは

投稿日:

TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 石川選手のアルト
  • スズキ アルト:フロアのアンダーコートを剥がしホワイトに塗装。バケットシートは軽さと強度を両立するカーボンで、横には消火器も設置している
  • スズキ アルト:重量バランスが最適化するであろう位置に移動したバッテリー。ハーネスが長いため重量は増すがトータルでは戦闘力が高まるはずだ
  • スズキ アルト:軽量化だけではなくレーシーな雰囲気も追求したコクピット。ステアリングはステーを製作しチルトのみならずパンも可能だという
  • スズキ アルト:ワンオフで製作したカーボンのドアノブ。軽量化は1gずつの積み重ねとよく言うが、石川のアルトを見ればそれが真実だとよくわかる
  • スズキ アルト:ディフューザーのような形状で、整流効果が高いフロントのエアロ。グリルにはエアクリーナーへ風を導くダクトが埋め込まれている
  • スズキ アルト:レーシングハマーのリヤウイングに、カーボン板を追加したオリジナル。ストレートの長いスポーツランドSUGOでは特に効果がある?
  • スズキ アルト:エンジンは基本的なメンテナンスや遮熱、そしてエアクリーナー程度。タイヤさえセカンドラジアルに戻せば3クラスでも走れる仕様だ
  • スズキ アルト:HT81型スズキ「スイフト」のブラケットを使い、ラテラルロッドが水平になるよう工夫。車高調はジールでスプリングはF10kg/R8kgにしている
  • 東北660シリーズに関わる大勢の仲間たちと交流を深めたことで、勝つだけではなく「楽しむことの大切さを思い出しました」と話す
  • スズキ アルト:石川選手にとって2台目となるHA23アルト。作り込みはデモカーに匹敵するといっても過言ではない。来年の1クラスにも当然この車両で挑む

アルトにこだわりマシンメイクを追求

軽自動車レース「東北660選手権」で最大の激戦区といわれる3クラス。そこを勝ち抜いたドライバーがステップアップし、さらに高いレベルで腕を競い合うのが2クラスです。今年も3クラスでチャンピオンに輝いた強者や、彼らの背中を追いかけるチャレンジャーが集い、闘志をむき出しにしたバトルを繰り広げています。2クラスに参戦する注目ドライバーを紹介します。

突き詰めた結果、参戦全台数で一番軽いマシンに

まだ大学生だった2021年から東北660に参戦し続け、翌年には圧倒的な速さで3クラスを制した石川颯人選手。2025年シーズンからは「1クラスに挑戦します!」と宣言した彼が、文字どおり不退転の覚悟を示すかのように快進撃を続けている。

石川選手

初めてのモータースポーツ経験は実車ではなくグランツーリスモ。都道府県対抗eスポーツ選手権に出場するなど、まずはバーチャルの世界で経験を積んできた。それから実車のレースへ歩みを進め、初めての東北660シリーズは耐久レースだった。

自他ともに認める生粋のHA23フリークである石川選手は、ダイハツ勢が増えた今もスズキ「アルト」へのコダワリを強く持つ。車両もレギュレーションの範囲内でギリギリまで作り込み、とくに空力パーツやコクピットは本物のレースカーも顔負け。HA23型最大の武器は軽いボディだと考えており、シーズン開幕後もさらに軽量化を進めてきた。宮城県スポーツランドSUGOの第3戦で車重をチェックしたところ、アルト以外のクルマを含めた全車両で最軽量だったという。

徹底した軽量化で表彰台のてっぺんを狙う

ドアは純正の内装を取り払い薄く軽いタイプに交換し、開閉するハンドルはなんとカーボンでワンオフ製作。また軽さだけではなく重量バランスも追求し、バッテリーなどは室内の助手席側に移動させた。

空力もフロントに下側のリップ部分が長い「アクエリアススポーツ」製を使用したり、「レーシングハマー」製のウイングにカーボン板をやや下向きの角度で追加するなど、パワーに勝るダイハツ勢と戦うためのノウハウがあらゆる部分に詰め込まれている。

マシンメイクはeスポーツ時代の所属チームや当時の仲間たちを筆頭に、偶然の出会いだった仙台のプロショップ「Sリミテッド」からのサポート、そして東北660シリーズに参戦する先輩のバックアップがあってこそ。マシンの各部に貼り付けられた協賛企業のステッカーは、石川選手の「勝って恩返ししたい」という気持ちの表れだろう。

なおエンジンはベース車両に載っていた状態のままで、オーバーホールはあえて行っていない。2025年シーズンからの1クラス参戦に備えシーズンが終わればエンジンを開ける予定で、同時にレギュレーションで認められたフルコン制御にも挑戦するという。

* * *

プロショップのデモカーや公式レースの経験が豊富なベテランに加え、ここ数年で2クラスからのステップアップも増えた最高峰の1クラス。バーチャルな世界でのレースが初体験という、異色ながらもイマドキな経歴を持つ石川選手が、どんな戦いをみせるのか今から楽しみでならない。

すべて表示
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
著者一覧 >

 

 

 

 

 

 

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

人気記事ランキング

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

AMW SPECIAL CONTENTS