ラリーだったら落ち着いて勝負できるかも?
そんな奈落の底のような気持ちから、
「通りがかった地元の人がいて、あれここじゃないの? とカーブミラーがあって。そこからは分かりましたよ、ここだ! と」
クルマの中に閉じ込こめられてしまったようなどうしようもない事態を脱し、周囲の状況判断がみるみる動き出していったようです。
「やっぱり間違えないと分からないじゃないですか、ほんとうの正しさが」
スポーツ性を駆使しながらゴールに無事帰還するための原点「コマ図」に立ち返ることを突きつけられた、ともいえるミスコースの洗礼。その後については以下のようにコメント。
「めちゃくちゃ忍耐でしたよ、ラリーってどんなものかと思ってましたがさらに好きになりました。レースは速い人は速いので、私にはちょっとセンスなく勝てないかな? とも思うんですけど、このラリーだったら落ち着いて、勝負できるかなあ……」
と、スポーツ後の意欲もちらり。
ドライバーとして、初参加の娘のみちるさんは20歳。普段乗っていない父が使っているという軽トラックでエントリー。
「山道を走るのも初めて、でも怖さなどなく楽しかったですね。雨後で川ができていたりの山道は、意外と好きでした。これだけの経験ある方が参加しているイベント、奥が深いということもよく分かりました。趣味として始めましたが、いい経験ができて良かったです」
父からは、みちるさんは以下のように見えていたそうだ。
「途中から悟っていたようになっていた、急に何かに取り憑かれていたかのようにスムーズに運転してました」
今回、無事に完走してBライセンスを申請するとのこと。5分で辞めなくてよかった——いまや「スタート直後の絶望感」は、遠くから別の輝きを放っていました。
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