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秋田大学自動車部の先輩たちを追いかけて、DIYでダイハツ「エッセ」をサーキット用に!…「東北660選手権」期待の若手を紹介します

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 佐藤 圭(SATO Kei)

  • 小林選手のエッセ
  • ダイハツ エッセ:エアクリーナーに外気を送り込むエアダクトも自作。サイズや形状をよく考えて設計しており、グリルの一部ををカットし埋め込んだ
  • ダイハツ エッセ:空気が溜まりストレート速度が落ちないよう、リアバンパーに穴を開けるのは定番のカスタム。小林の車両は自作で格子を入れている
  • ダイハツ エッセ:3Dプリンターによる記念すべき初の作品がナンバープレートカバー。秋田大学自動車部の略称である「AUAC」のロゴが入っている
  • ダイハツ エッセ:基盤やプログラムも自作したメーター。父親が電気に関係する仕事をしており、アドバイスを受けながら5~6回の試行錯誤を経て完成した
  • ダイハツ エッセ:エアクリーナー本体こそ市販品だが、インテークパイプは効率をシミュレーションして自作。エンジンの吹き上がりが確実に向上した
  • ダイハツ エッセ:小型化したバッテリーは重量バランスを考慮し室内に移設。確実に固定できるようカバーを自作し、ケーブルも太いタイプを使っている
  • ダイハツ エッセ:新規格とはいえ年式はそれなりに古い。レース前にオイル交換するのは当然として、コイルなど点火系のメンテナンスも手を抜かない
  • ダイハツ エッセ:エンジンも先輩からのおさがり。載せ替え後は明らかにストレートの速度が上がり、それも初めての表彰台に大きく貢献したとのこと
  • 第3戦で準優勝を遂げた小林選手。さらに2024年から設けられた「ハートビート賞」として、希望するFRP外装パーツ1点がプレゼントされた
  • ダイハツ エッセ:ATだったベース車両も部活の先輩から格安で譲り受けた。整備の経験はゼロだったがMTの載せ替えから公認車検まですべてDIYだ

強敵揃いの3クラスに初心者ながら参戦

軽自動車レース「東北660選手権」のなかでも、表彰台を獲得できる回数に制限を設けることで、自然と上位クラスへステップアップが促されるため、新人が台頭しやすい「3クラス」。今シーズンもフレッシュなドライバーたちが表彰台の常連となり、それを追う第2グループの顔ぶれも徐々に固まりつつあるという状況に。2024年8月27日に開催された第3戦で初入賞となる2位を獲得した、秋田大学自動車部の小林光司選手はその筆頭といえる存在です。今回はそんな小林選手を紹介します。

確実に経験を積み2年目でシングルフィニッシュも経験

参戦したきっかけは自動車部の先輩たちで、彼らの背中を追い2023年の開幕戦にエントリー。レース慣れしていない初心者が対象の5クラスではなく、先輩らと同じステージで戦うべく3クラスに飛び込んだ。結果は予選を通過できず、予選落ちしてしまったドライバーによるコンソレーションレースとなってしまった。しかし、それ以降は地道に練習を重ねテクニックを磨きながらデータを蓄積し、東北660耐久レースにも同じマシンで参加して走り込んできたのだ。

小林選手

次世代のエース候補として注目されたのは2024年の第2戦。予選からポジションをひとつ下げたのは反省点ながら、過去の戦歴を大きく上まわる8位でフィニッシュした。殻を破ったドライバーが急成長することは往々にしてあり、第3戦では準優勝と大躍進しトップ勢とのバトルも経験している。

DIYも駆使してマシンメイク

2025年の3クラスを牽引することになりそうな、小林選手の愛機L235型ダイハツ「エッセ」のマシンメイクをチェックしてみたい。まずベース車はタマ数が多く価格も安いATモデル。それを自分で載せ替えするだけでなく、公認車検まで取得したというのだからすごい。

自作パーツが多いのも見どころ。ステアリングコラムのメーターは、基盤はもちろん動かすためのプログラムも自ら手がけたそうで、エンジンの回転数と車速を表示することができる。もっとも、最初は正確に動かずテストを繰り返し、ようやく実用的と呼べる域に達したとのことだ。

もうひとつ見逃せないのはインテークパイプで、より効率が高い形状をシミュレーションで弾き出し、現在の径と長さおよび角度にたどり着いたという。タイムや順位で上を狙うのと同時に、オリジナリティを追求するのも小林選手のこだわりだ。ほかにも3Dプリンターを駆使して製作したナンバープレートカバー、室内に移設したバッテリーケースなど「小林オリジナル」は多数ある。

さらに上を目指すための課題はコーナリング速度で、可動式エアロパーツを作れないか考えているという。また自動車部としてのレベルを高めるため、後輩の育成にも力を入れていきたいと話す。自分を超えるドライバーが出れば今以上に気合いが入り、さらに下の世代へ経験や知識を継承していけるに違いない。

自身のレース活動と部活の双方にとって、大きな糧となるであろう2024年シーズン。ハイレベルなバトルを経験したうえ表彰台に立つ喜びも知り、来年は最大の激戦区である3クラスを牽引する存在になりそうだ。

>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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