35年間所有し続けている190E 2.3-16
1980年代のドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)で覇を競ったメルセデス・ベンツ「190シリーズ」(W201)と、BMW E30系「3シリーズ」という、2つのモデルのオーナーたちが合同で開催したミーティング「DTMを戦ったライバルたちの宴」。今回紹介する「190E 2.3-16」は、じつは世界で7台しか存在しないレア仕様なのだとか。その秘密をオーナーに聞いてみました。
ここ20年ほどは全てDIYでメンテナンス
2024年11月3日に開催されたこのイベントの2週間後で所有して35年を迎えるという、1986年式メルセデス・ベンツ「190E 2.3-16」のオーナーの“清水@2.3-16”さん。当時2年半落ちのユーズドとして手に入れたこのクルマが、自ら購入した初めてのクルマだったという。そこから現在までの間、オーバーレブやサーキットでのクラッシュなどさまざまなトラブルがあったそうだが、“清水@2.3-16”さんはある時期からほとんどのメンテナンス作業を自ら行っているそうだ。
「20年くらい前に駐在で海外に行った時に友達に預けていたんですが、帰ってきたら突然ディーラーから電話があって、2週間後に車検ですといわれて。そのまま出したら67万円くらいだったので、メルセデス・ベンツUSAから全部マニュアルを取り寄せて、そこから全て自分でやるようになったんです」
世界で7台しかないレア仕様
この20年間に、購入したマニュアルを読みながらレベライザーのパーツの交換や、タペット調整などを行い、オルタネーターのオーバーホール、メーターパネルの補修や、コンピュータのコンデンサー交換など、鈑金以外の作業はほとんど自身で行ってきたという“清水@2.3-16”さん。メンテに関してドイツ本国ともやりとりをするそうだが、その中で、このクルマに関するあることが判明したそうだ。
「これ2.3-16なんですけど、なぜかエボと同じ4レべ(4輪油圧レベライザー)が付いてるんですね。その他にも190では珍しいメモリー付きの電動シートが付いていたり、(インパネ上部に)スイッチが3つ(サンルーフ/デフロスター/ホーン切り替え)付いていたり。水漏れがあって今は外しているんですけど、寒冷地仕様でクルマを止めていてもガソリンでハクキンカイロみたいにクーラントを温めて温風をだしてくれるヒーターなど、フルオプションがついているんですよ」
「よく使ってたドイツのパーツ屋さんに、ドイツ本社のメルセデスAGに問い合わせて聞いてもらったんです。このクルマにこの用品がついてるのはおかしいってことで。そしたら嘘かホントか分かりませんけど、ドイツでアラブかどこかの大金持ちに注文されたクルマらしいってことで。4レべがついているのは世界で7台しかないみたいなんです」
ハイクオリティに惚れている
自身で手を入れながら35年もの間所有してきた、190E 2.3-16。“清水@2.3-16”さんにとってその魅力とはなんなのだろうか?
「やっぱりサイズもバッチリいいし、小回りもきくし、スタイルも飽きないですね。この時代はオーバークオリティってぐらい良くできているんです。ダッシュボードを外しても中に削り出しのアルミのフレームが走っていたりとか、そういうクオリティに惚れています。あとドイツ車は消耗部品を替えればだいたい元に戻るのもいいですよね。今までに消耗品はほぼ3回以上は換えていると思います。あとはもう、とにかく長く維持するだけですね」
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