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2030年までに電気自動車だけにするのは到底ムリ! ベントレーが「ビヨンド100戦略」を見直し…2026年には初のBEVを投入予定

ベントレーは、2035年までにフル電気自動車の生産を目指し、製品・投資を積極的に推進していくと語っている

ビヨンド100戦略を2030年から2035年に延長

ベントレーはこれまで2030年までに完全電動化を目指す「ビヨンド100戦略」を掲げていましたが、その計画を5年延期する「ビヨンド100+」戦略を発表しました。新たな戦略的発表のもと、ベントレー初のBEVを2026年までに発売することで新たなセグメントを創造し、2035年の完全電動化を目指すといいます。また2035年まで、毎年PHEVまたはBEVの新モデルを発表するとともに、ドリームファクトリーへの持続可能な投資を継続していくことも発表。ベントレーの新戦略について解説します。

2026年、ベントレー初のBEVを投入予定

ベントレー モーターズは、ビジネス戦略「ビヨンド100戦略」を2030年から2035年に延長し、新たに「ビヨンド100+」と名付け、今後の戦略を展開すると発表した。2026年までに発表予定の初のフル電気自動車は、ラグジュアリー アーバンSUVという新セグメントを創出するという。このモデルはクルーの本社で設計・開発・生産される予定で、今後10年間にわたり、毎年新しいPHEVまたはBEVモデルを発表する計画の第一歩となる。ベントレーは、2035年までにフル電気自動車の生産を目指し、製品・投資を積極的に推進していくと語っている。

ベントレーは、すでにラグジュアリーハイブリッドカー分野の先駆者としての地位を築いており、その地位をさらに確固たるものとするため、PHEVモデルのライフサイクルを2030年から2035年まで延長する。また、「コンチネンタルGTクーペ」、「コンバーチブル」、「フライングスパー」のW12エンジンの生産終了を受け、パワートレイン「ウルトラ パフォーマンス ハイブリッド」に統一された。

過去最大規模の自己資金による拠点投資プログラムが実施

「ビヨンド100+」では、クルー工場の根本的な再構築も推進され、次世代の製品と従業員の未来を確保。すでに歴史あるクルー本社を改装し、業界をリードするカーボンニュートラル認証施設を設立した。今後は電動化された未来に向け、ドリームファクトリーの構築に注力すると発表。105年にわたるベントレーの栄光ある歴史のなかで、これまでで最大規模の自己資金による拠点投資プログラムが実施される。このプログラムでは、新しいデザインセンター、塗装工場、BEV専用の最新組立ラインを導入し、85年の歴史を持つ拠点を電動化時代に対応する施設へと変革していくとしている。

ベントレー モーターズの会長兼CEOであるフランク=ステファン・ヴァリザー氏は、このようにコメントした。

「ベントレーがビヨンド100戦略を掲げてから約4年が経ち、私たちは現在の経済状況、市場、立法環境に適応し、未来への大規模な変革を開始します。新しいビヨンド100+は2030年以降の私たちの高い目標を示す指針であり、2035年までに完全電動化を目指し、100年以上にわたり卓越した英国車を生み出してきた実績をもとに、さらに進化を遂げてまいります」

AMWノミカタ

これまでもベントレーが2030年にBEVのみを販売するブランドになることは不可能という報道が見られたが、今回は公式にこれまでの戦略を見直すことを発表した形になる。EU連合は2035年以降も再生可能エネルギー由来の合成燃料を使ったエンジン車の販売を容認すると発表し、この大きな政策転換も今回の戦略変更に大きく影響している気がする。

国際エネルギー機関(IEA)の発表によれば、2023年のヨーロッパでのBEVの販売比率は21%、中国は38%と高いが、ベントレーに取って最大の市場となるアメリカはテスラというメーカーがありながらも9.5%に留まる。セグメントによってもこの数字に差異が出るかと思うが、つまるところBEVモデルの一本足打法ではどのメーカーも経営が成り立たないという見通しなのであろう。

ベントレーは新たな市場を開拓するBEVのラグジュアリーアーバンSUVを開発すると発表した。かつての盛り上がりムードが一巡したBEV市場で、新たな購買層を刺激するどのような離れ業をベントレーが繰り出してくるのか期待したい。

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